「THE 八犬伝」 第四話「芳流閣」
さて、「THE八犬伝」もいよいよ名場面、犬塚信乃と第四の犬士・犬飼現八の、芳流閣の決闘ですが――
脚本が鳴海丈先生のためか、はたまた作画監督のためか、これまでのエピソードとはまた毛色の大きく変わった内容となっています。
大きく分けて、前半は荘助の仇討ち、後半に芳流閣の決闘という構成のこの第四話ですが、冒頭パッと見て驚かされるのは、その絵のタッチの違い。
この絵はどうみても…とおもいきや、やはり作画監督はなかむらたかし。時期的には「AKIRA」の数年後ですが、やはり大友タッチが残っております。
さて、中途半端なマニアのお話は置いておくとして、浜路を弔った後、大塚村に戻った荘助が見たものは、蟇六の屋敷から逃げ出す奉公人たちの群れ。
浜路が抜け出したことも知らず陣代・簸上宮六を迎えた蟇六夫妻ですが、座を持たせるために献上した村雨は真っ赤な偽物、かえって怒りを買って簸上らに殺されてしまう…という内容自体は原作と同様ですが、しかしこちらでは、その間に大変な事件が発生します。
蟇六ともみ合ううちに偶然顔に怪我をした簸上の供・軍木五倍二が偶然顔を怪我したかと思えば…顔を上げた軍木の姿は、犬とも猿ともつかぬ奇怪な妖怪に!?
さらに簸上もさらに巨大な妖怪に変化し、蟇六夫妻を惨殺するのでした。
この妖怪たちが登場する際には、これまで幾度となく登場したあの赤い橋のイメージが現れ、さらに、玉梓までもが一瞬姿を現すのですが――
いつ怪物と化したかは知らず、簸上らは、八犬士に仇なす者として、玉梓により配置されたということでありましょうか?
何はともあれ、こんな怪物たちを相手にすることになった荘助はやはり不幸、妖怪たちは斬っても斬っても増えていくばかり、さながら悪夢の中にいるかのよう…
しかし、ここで荘助を助けたのは、あの不思議な玉。
宿敵とも言うべき妖怪たちを前に爆発的な力を放つ玉は、荘助を空に舞い上がらせ、なおも追いすがる簸上を貫いて大爆発を起こします。
…と、なんだか大変なことになってしまいましたが、原作同様、荘助は一連の騒動の犯人扱いで捕らわれるのでした…
さて、そんな大騒動が起こっているとはつゆ知らぬ信乃はいよいよ古河で足利成氏に対面するのですが――ご存じの通り、献上するはずの村雨は偽物。
父の、自らの忠義を根底から否定されながらも、信乃は生き延びるため城内を斬り抜けることとなります。
進退窮まった信乃の猛烈な立ち回りに手を焼く横堀在村は、ついに、牢に入れられていた犬飼現八の解放を決意するのですが――この現八がまた、なるほどこれは幽閉されるのも無理はないわいという怪物。
いきなり城の壁を崩して登場するなり野人のようなテンションで信乃に襲いかかり、応戦する信乃ともども、壁を破り天井をぶち抜き(やっぱり建物崩壊するんだ…)、縦横無尽に大暴れであります
そして二人が死闘の果てに辿り着いたのは、芳流閣の屋根の上。
にらみ合う二人、そしてそれを見つめる網干の前で、突如あの玉が飛ぶや、突然、辺りは黒雲に包まれ――二人が激突しようとしたその時、激しい雷が落ち、芳流閣は崩壊していくのでありました…
と、表面上のあらすじ(事件の発端と結果)は同じものの、その過程は大違いという今回のエピソード。
これまでも網干の扱い等、原作から踏み出した要素は見られましたが、良くも悪くも、ここにきて一気に爆発した感があります。
(それでいて、信乃と荘助、二人の「忠義」の想いが裏切られ、裏目に出る様を描くという点はきっちり描いているのは面白い)
残り二話がいかなる展開を見せるのか、さて!?
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