「THE 八犬伝」 第六話「鬼哭蝉」
いよいよ「THE八犬伝」もこの第六話で一区切り。今回の舞台となるのは再び大塚村。陣代と主殺しの罪で捕らわれた荘助を救うため、犬士たちが集います。
前々回、怪物と化した陣代・簸上宮六を倒して蟇六の仇を討った荘助。
しかし陣代が怪物と化したなどという話が信じられるわけもなく、諸々の罪を引っ被らされて激しい拷問を受けた末に、処刑を宣告されてしまいます。
そうとも知らず、信乃は小文吾と別れ、現八とともに大塚村へ向かったところで、この事態を知ることになります。
もちろん荘助を見捨てるわけもなく、助けに向かおうとする信乃を助けるのは現八。捕り手・獄舎番時代の経験がものを言ったか、刑場周辺の地理を分析した末、前夜から二人は刑場に潜みます。
一方、両親を失った大八を預けるために二人と一旦別れた小文吾は、とある川のほとりで、握られたままだった大八の手の中から、あの玉が現れるのを目撃します。
それに応えるように登場したのは、あの伏姫と八房――第一話以来、これほどはっきりと伏姫が登場するのは初めてだったかと思いますが、彼女は大八を預かり、何処かへと消えていきます。
「まだその川を渡ってはなりません」とい意味深な言葉を残して…
八犬伝ファンであればこの大八が、後に犬士の一人・犬江親兵衛になることはよくご存じかと思いますが、ここで気になるのは、大八と旅する小文吾が、ぬいと房八の実在を疑うような独白を見せることであります。
確かに、死した後に犬の死体に変化するという不思議を見せた二人ですが、さて二人は何者なのか。
そして何よりも、その二人から生まれた大八/親兵衛とは――
ぬいが「いぬ」から、房八が「八房」から来るネーミングであることは、これは原作からの設定ではありますが…あるいは、ある意味八犬士の案内人ともいえる網干と同種の――誘う方向は違うかもしれませんが――存在なのかもしれません。
そして、ついにやってきた処刑の朝。
今まさに荘助の命が奪われんとした時、信乃と現八が飛び出してきたのは、処刑場に積み上げられた死体の山から(この辺り、犬士に死の影が濃厚にまとわりつく本作らしい演出と感じます)。
信乃は刀、現八は鎖鎌を振り回して刑場になだれ込み、ついに荘助を助け出すのですが…ここで磔柱を背負った形でそのまま走り回ったり転がり落ちたりする羽目になる荘助さんが、「ああやっぱり」という感じで何とも。
それはともかく、善戦したものの多勢に無勢、三人が鉄砲隊に追い詰められたところに折良く駆けつけたのはもちろん小文吾。刑場の竹矢来をまとめて引き抜き、それで兵士を一網打尽にするという豪快な活躍で、ついに四人は難を逃れます。
と、思いきや――巨大な雷が落ちたかと思いきや、四人が立っていたのは鬼火漂う異空間。そこで彼らを待っていたのは…言うまでもありません、網干左母二郎であります。
犬士たちの苦悩が自分の糧となると嘯く網干は、彼らが八人揃うことを楽しみにしているとだけ告げ、何処かに消えていきます。
そして四犬士は、気付けば川に流され、何処かの岸に打ち上げられて…
ここで、この第六話は終了。「THE八犬伝」はひとまずの幕となります。
まだまだ「南総里見八犬伝」の物語は序盤ではありますが、「THE八犬伝」はここで折り返し地点。
果たして残る犬士たちは(そして今回ほとんど虚脱状態を見せるだけだった道節も)どのように登場するのか。
犬士たちが存在することの意味は、そして彼らの旅の終着点はどこになるのか。
まだまだわからないことだらけ(そもそも本当に解があるかどうかも含めて!)ですが、それは新章全七話を観てのお楽しみ、であります。
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