「隠密八百八町」 第一回「その男、又十郎」
正月時代劇「隠密秘帖」の続編と言うべきか本編と言うべきか、「隠密秘帖」の主人公の息子を主人公に、舞台を34年後に移した連続時代劇「隠密八百八町」がスタートしました。
「隠密秘帖」についてはどうにも地味な印象のありましたが、この「隠密八百八町」は一気に派手な時代活劇になる様子。一言でいえば、正月時代劇からこのノリでいってくれれば…という印象であります。
寛政の改革も遠く過ぎた文化年間、巷では夜の闇に出没する、青白く輝く狩衣姿の男の噂が持ちきりに。
そんな中、「隠密秘帖」の物語で両親と兄を失い、家僕に育てられた神谷又十郎は、今は気楽な浪人暮らし、馬庭念流道場の師範代として口を糊する毎日。
そんな中、ライバル道場とのもめ事を見事治めた又十郎は、その手腕に目を付けた楽翁なる人物に呼び出されるのですが…
残念ながら30分枠ということで、今回はほとんど人物紹介で終わってしまい、話の本筋に入る一歩手前で時間が来てしまったという印象なのですが、それでもかなりにぎやかな顔ぶれを見ることができました。
堅物だった父親・庄左衛門と違い、どこか飄々とした又十郎、その又十郎に敗れてストーカー状態の若侍・源兵衛、又十郎とは顔なじみの手裏剣使いの大道芸人姉弟のおときと春之丞(釈さん相変わらず美形すなあ)、そして唯一過去の事件の真相を知る老僕・喜八郎と、老若男女入り交じったチーム(になるのでしょう)構成で、メンバーを見ているだけでもなかなか楽しいのです。
個人的には、江戸の怪奇事件マニアにはお馴染みの青く光る官人ネタ(たぶん初映像化でしょう…喜んでるのはごく一部だと思いますが)を使ってきたのも嬉しいのですが、その官人の衣に田沼の七曜紋が入っていた、というアレンジが実に面白い。
それをきっかけに、(本作の悪役になるのであろう)水野忠成が田沼の隠し金の存在に目を付けるという展開も、うまいものだと思います。
その一方で、又十郎の後ろ盾になるであろう楽翁は――喜八郎が糾弾したように――又十郎にとっては実質的に父の仇同然であり、この辺りのドラマの流れも気になるところ。
これでさらに庄左衛門が遺した備忘録(これがすなわち「隠密秘帖」!?)が物語に絡んでくるのであれば、非常に面白いのですが…さて。
全九回、短い時間ではありますが、この調子であれば最後まで楽しめそうです。
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