「絵巻水滸伝」 第88回「幽明」 いよいよ田虎編突入!
久々に感想を書きます「絵巻水滸伝」。先々月に掲載された前回で、遼国編は終了しましたが、今月更新の第88回「幽明」からは、新章・田虎編に突入であります。
あと一歩というところまで遼国を追いつめながら、突然の和睦という形で兵を引くこととなった梁山泊軍。
東京に帰投することとなった梁山泊軍は、その途上、かつての敵である聞煥章から、高キュウらによる百八人抹殺の企てを聞かされることとなります。
このまま都に戻れば、みすみす相手の罠に陥るのみ。しかしもはや官軍である梁山泊軍が、国の命に逆らうわけにはいかない…
このジレンマから梁山泊軍を救ったのは、田虎軍の侵攻。打つ手のなくなった官軍の代わりに、梁山泊は田虎討伐に向かうこととなります。
かくて始まった田虎との戦い。
原典でも梁山泊の前に立ちふさがることとなった四大寇の一・田虎は、猟師から身を起こして瞬く間に河北に覇を唱え、晋王を僭称するに至った強敵です。
その配下には、梁山泊にも劣らぬ豪傑・猛者・術師揃い…その幾人かは、この第二部が開始されてから梁山泊の前に現れ、因縁を結んできましたが、そんな者たちに、これから如何に梁山泊の好漢が挑むことになるのか、これは楽しみであります。
そして感心させられるのはこの「絵巻水滸伝」における、梁山泊軍が田虎軍と戦う理由であります。
原典では、宋江の発案で招安を受け入れた梁山泊が、半ば自発的に田虎討伐を受け入れた印象がありますが、本作においては、高キュウらの罠を避けるため、という理由付けがなされているのが面白い。
そもそもの招安についても、征遼戦についても、本作においては、決して自発的に行われたものではありません。
原典の後半では、宋江がホイホイ招安を受け入れたあげく、国に便利に使われて使い潰されたというのは、ほぼ全ての水滸伝ファンが受ける印象だと思いますが、さすがに本作は、そこを避けるために頑張っているなあと感心いたします。
さて、今回重要なのは、田虎戦の開始だけではありません。
実は今回の後半の舞台となるのは中国有数の霊山・五台山。
かつて魯智深が修行した(そして追い出された)五台山に、旅の途中立ち寄った宋江らは、智真長老から様々な啓示を受けることとなります。
魯智深に対する偈、宋江に対する預言…呉先生はすがってるのにほとんど相手にされていないのに笑いましたが、これからの彼らの多難な道行きを感じさせます。
(ちなみに今回、呉先生は影の主役と言いたいくらい出番が多いのです。建国失敗して気鬱になる呉先生、子供に懐かれて戸惑う呉先生、公孫勝が弟子にしようと狙ってる呉先生、智真長老にすがってもすげなくされる呉先生、戦争になったら途端に元気になる呉先生…)
そして田虎編のヒロインと言えば、もちろん飛礫の達人の美少女・瓊英。
期待通り(?)今回も冒頭とラストに登場、特に冒頭では、狼藉を働く官兵をもの凄い勢いで片づける武侠ヒロインぶりを発揮で、こちらも、これからの活躍が楽しみなのです。
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コメント
こんばんわ。是非これからも絵巻水滸伝の感想を書いて下さい、楽しみにしています。
投稿: 中道 | 2011.04.27 22:25
中道様:
こんばんは!
これまであまり反響がなくてどうしようかと思っていた絵巻水滸伝の感想ですが、そう言っていただけると本当に励みになります。
これからも頑張ります(とりあえず、次回更新時に感想を書こうかと…)
投稿: 三田主水 | 2011.05.03 01:00