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2011.04.28

「義風堂々 直江兼続 前田慶次酒語り」第1巻

 色々あって「コミックバンチ」誌が休刊し、そこから形上は分裂した形となった徳間書店の「コミックゼノン」。そのゼノン誌上で「義風堂々 直江兼続 前田慶次酒語り」と題して復活した「義風堂々」の単行本第1巻であります。

 第一幕である「前田慶次月語り」は、秀吉が天下を統一し、その下で上杉景勝が新発田重家を滅ぼしたところで終わりましたが、本作は、時間的にも内容的にも、その直後からスタートいたします。

 次々と有力大名の瑕疵を上げ、廃絶に追い込む策に出た秀吉。
 その秀吉の狙いは、たとえ下につこうとも、その魂までは譲ろうとしない景勝・兼続主従に向けられることとなるのですが…

 そんな中に、兼続が家中の者の後妻打ち(離縁された先妻が、親しい女たちとかたらって後妻の家を襲撃するという習俗)騒動に巻き込まれた中で出会ったのは――そう、前田慶次郎その人であります。

 以前、上杉家と織田家が戦場で対峙した際にニアミスした二人ですが、直接の対面はこれがほとんど初めて。
 もちろん英雄は英雄を知る、似たもの同士の二人(実は二人並んでいるとどちらがどちらか時々わからなくなるのですが…キセルを咥えている方が慶次ですね)はたちまち意気投合するのですが、ここに絡んでくるのが、先述の秀吉の企みであります。

 上杉領内にありながら、その支配に服さぬ佐渡島の本間氏。領内の取り締まり不行き届きを口実に、上杉を狙う秀吉に抗するため、兼続らは陣借りした慶次を助っ人に、佐渡に向かうことになるのですが…

 ここで「花の慶次」ファンは、おや、と思うかもしれません。
 「花の慶次」では、上杉の佐渡攻めは前半の大きなエピソード――私も結構好きなエピソードであります――として描かれていましたが、本作ではそれをもう一度(という言い方はおかしいかもしれませんが…)描く様子。
 この「義風堂々」は、これまで「花の慶次」と外伝的な内容でしたが、今回は、むしろ「花の慶次」リメイク的な内容となりそうに思えます。

 これはこれで面白い試みではありますが、しかしやはり慶次を描かせては本家に分があるのは言うまでもないお話。
 やはり本作は本作として、あくまでも兼続の視点から、佐渡攻めを描いていただきたい…と思います。

 その意味では、兼続の強敵は、対する本間家でもその背後の秀吉でもなく、傍らにある盟友・慶次かもしれません。
 これは開始早々の大勝負ではありませんか――

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