「無限の住人」第28巻 役者は揃った!
「無限の住人」も気がついてみればあっという間の第28巻。
最終章に入ってからもそれなりの巻数を数えてきましたが、いよいよこの巻ではメインキャラクターがほぼ全員集結し、いよいよ最後の戦いか!? という盛り上がりであります。
前巻で、偽一vs阿葉山の副将対決も決着し、水戸路での戦いは、逸刀流の壊滅で終結。
ここで、冒頭の一話を使って阿葉山の回想の形で描かれる、天津の祖父の死の真相と、逸刀流結成秘話が実に面白いのですが…それももはや空しい過去の物語ではあります。
そして、天津ら逸刀流本隊の逃走を防ぐために那珂湊に急いだ吐鉤群は、その逃走経路を潰すために、港に停泊する船に乗る者を皆殺しにせよとの命を…
吐が目的のためなら手段を選ばぬ男であるのは、不死力解明編でよくわかっていたつもりでしたが、いやはや、ここまでとは思いませんでした。
しかし、人道という側面を無視すれば、これが最も任務達成に手っ取り早い手段ではありますが…
逸刀流は、武士のある側面――それも、この時代の武士には見られなくなったものを――を具現化した存在ではありますが、吐もまた、別の側面を同様に具現化したものと言えるかもしれません。
であるとすれば、この両者の戦いは…
などと、逃避したくなってしまうほど酸鼻な吐の所業ではありますが、そこに現れた影が一つ。
一艘の不審な船に乗り込んだ六鬼団・弩馬のヌンチャクを物ともせず、助っ人に現れた足江進を文字通り一蹴して登場したのは、逸刀流の鬼札と言うべき乙橘槇絵!
作中でほぼ最強キャラの彼女の登場で、一気に逸刀流の巻き返しか? と思いきや、ここでタイミング悪く(良く?)労咳の発作が起きて早速戦線離脱…と、そこに現れた意外な助っ人は万次!?
まるで主人公のような格好良さを(主人公です)見せたと思いきや、突然の乱入者に場は大混乱。そしてそこに天津影久が、そして凛も現れ――ここに、役者はほぼ全員揃った、ということに相成ります。
果たしてここで全ての決着が付くかはわかりませんが、少なくともこの面々が顔を合わせて、誰も命を落とさない、というわけには間違いなく生きますまい。
万次・凛vs荒篠獅子也、槇絵vs弩馬心兵・八宗足江進、そして天津vs吐――
三つの戦いがここに平行して開幕し、いやはや、最終決戦にふさわしい戦いとなって参りました。
果たしてどこまでこの死闘が続くのか、それはまだまだわかりませんが、最後まで見届ける覚悟はこちらにはできています。
せめて、悲劇の数はできるだけ少なくしていただきたいものですが――それはまあ、贅沢というものではありましょうが。
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