「妖術武芸帳」 第06話「怪異人枯し」
飛脚殺しの罪を着せられ、あわや土地の役人に処刑されかかった覚禅。窮地を誠之介に救われたものの、今度は闇童子を追って、羽化登仙の術に捕らえられてしまう。一方、道士のアジトに迫った誠之介は、楓を利用した道士に飲まされた仙薬渇水により、喉の渇きに苦しみ、術中に陥ってしまう。しかし道士が誠之介に近づいた一瞬の隙に、誠之介の一刀は道士を斬るのだった。しかし覚禅は敵の手に落ちたままだった…
アバンで描かれるのは、街道を行く飛脚。茶店に立ち寄る間ももどかしく、江戸に急ぐ飛脚ですが、飲んだ茶には、一度口に含めば乾きが止まらない仙薬・渇水が…
喉の渇きを覚えた飛脚の目の前に現れたのは、山肌から突き出した竹筒から流れる水。しかし彼が顔を近づけると水は止まり、離せば水は流れ――いらついて中を覗き込めば、奇怪、中には瓢箪から水をうまそうに飲む道士の姿があります。
これこそは毘沙道人配下の四賢八僧の一人・水旱道士。竹筒が巨大化したか、道士に招かれるままに中に入っていった飛脚は瓢箪を受け取りますが、中から出てきたのは砂!
そしてその場に遺されたのは、竹筒の下で息絶えている飛脚…
と、いきなり奇怪な妖術描写から始まりましたが、殺されたのは、実は覚禅の依頼で、江戸の大目付・飛騨佐渡守まで道人一派の動きを記した書状を送るはずの飛脚。
道士は飛脚を殺して書状を焼き捨ててしてしまいますが、道士の奸計はこれに止まりません。
居酒屋で昼から酒を飲んでいる覚禅の前に現れたのは、死んだはずの飛脚。土気色に変わった飛脚の口から、覚禅を嘲笑う道士の声が流れ、終わったと思えばゴロンと(断面を見せて)生首が転がります。
そのまま、飛脚殺しの罪で土地の役人に捕まってしまう覚禅は、出るところに出てやろうと最初はおとなしく連行されますが、しかし役人の真の狙いは、隠し目付である覚禅の抹殺。
そうと知って反撃する覚禅ですが、しかし四方からの目潰しで窮地に陥ったところに、駆けつけた誠之介に助けられるのでした。
しかし本当に落ち着かない覚禅、誠之介の宿の部屋に隠れた際に闇童子を見つけ、その後を追ってしまいます。天に伸びた夕顔の蔓の上で嘲笑う闇童子を追い、蔓を上っていく覚禅ですが…前回を見ていればご存じの通り、これは羽化仙女の羽化登仙の術。蔓に絡まれ、覚禅は捕らえられてしまうのでした。
一方、誠之介の前に現れたのは、覚禅の妹・楓。江戸から大目付の言伝を携えて来たという彼女ですが、兄が消えてしまったため、誠之介とともに待つことに。
彼のために茶を持って行く途中、階段を上っても上れないという怪事に見舞われる彼女ですが、その隙に茶に混ぜられたのは、あの仙薬・渇水…
その夜、誠之介の部屋を襲う戦闘員たち。それを逆に利用し、戦闘員とすり替わってアジトの道士に迫る誠之介ですが、そこで仙薬の効果が発動してしまいます。
あの飛脚同様、目の前に現れた竹筒に誘い込まれ、道士に吸い寄せられる誠之介ですが――道士に近づいたとき、彼の刀が一閃!
道士の眉間はゴケミドロが入ったように割れて、竹筒も割れるのでした。
しかし、誠之介と駆けつけた楓の前に投じられた文には、覚禅を助けたければ風摩屋敷に来い、との言葉が…というところで次回に続きます。
妖法を破るには妖法に入る、その心構えで接近し、虚をついて誠之介は道士を斬ったと説明されるのですが、ちょっと今回はストレート過ぎたかな、という印象。
道士を斬った後、誠之介が平然としているので薬を飲むフリをしたのかと思いましたが、これはむしろ道士が死んで薬の効果が切れたということなのでしょう。
それにしてもかわいそうなのは、損な役回りばかりの覚禅。面白いキャラなのですが…
今回の妖術師
水旱道士
水を吐き出す竹筒の幻を用い、相手を竹筒の中に引きずり込んで殺す妖術の遣い手。味も匂いもなく、一度口に含めば乾きが止まらない仙薬・渇水を用いて相手を乾きに苦しめ、術中に陥れる。
覚禅が江戸に送った飛脚を妖術で殺害、さらに楓を利用して誠之介に仙薬を飲ませて苦しめるが、一瞬の虚を突かれて一刀の下に斬られた。
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