「妖術武芸帳」 第09話「怪異幽玄鏡」
行列を襲撃して尾張藩家老をさらった覚禅。しかし家老は幽界道士が化けたものであり、覚禅の仲間の隠し目付たちは全員殺されてしまう。さらに道士は覚禅から地図を預けられた楓を誘拐。楓を姉と慕う闇童子は地図を取り返すが、裏切りを見破られて崖から転落、誠之介のもとに辿り着いて息を引き取る。怒りの誠之介は道士と対決、仙女と闇童子の形見の鏡で妖術を打ち破り道士を倒す。誠之介らは仙女と闇童子を懇ろに弔うのだった。
「妖術武芸帳」も後半戦、前回登場した尾張側についた諸藩を記した地図の争奪戦が繰り広げられることとなるのですが…
冒頭、街道を行く尾張藩江戸家老・大住内膳の行列に、暴れ馬で殴り込む覚禅。そのまま内膳を駕籠から拉致し、江戸からやって来た増援の隠し目付たちに引き渡します。
しかし、道人は追おうとする藩士たちを押しとどめてしまいます。
その頃、誠之介は、前回ラストで道人たちに捨てゴマにされ、あわや焼け死にするところだった闇童子を見舞っておりました。
童子の姉である羽化仙女の霊を弔うには、お前が真人間になることだという誠之介に対し、自分は独りぼっちだと答える童子。それに対し、楓は自分が姉になっても良いと、さらに誠之介も兄になろうと答えます(覚禅が聞いたら激怒しそうな気もする…)。
さて、駕籠の中身を確認しに動く誠之介ですが、駕籠の中から出てきたのはさらわれたはずの家老。そこに現れた道人は、配下をけしかけて誠之介を足止めしようとします。
その頃、覚禅は楓のもとに戻り、誠之介にも渡すなと言い残して、地図の半分を渡すのですが…一方、童子も、新しい姉さんになった楓に、仙女の形見の鏡を渡すのでした。
そんな中、お堂の中に内膳を閉じ込め見張っていた隠し目付たちの周囲が急に暗くなり、辺りに響き渡る怪しの声。
お堂の中に飛び込んでみれば、家老の姿はなく、背後の扉が鏡と化し、その中に映っていたのは家老に化けていた幽界道士――鏡に眩まされ、目付たちは次々と斬り捨てられてしまうのでした。
さらにお堂にやってきた覚禅も術にかかり、鏡の中で苦しむ目付たちに近寄っていくのですが…そこを押しとどめたのは、ようやく駆けつけた誠之介。気がついてみればそこは急流の流れる岸辺、その周囲には目付たちの死体も転がるのでした。
一方、宿で闇童子の世話をする楓が盥を覗き込むと、中に道士の顔が…水の中から突き出た腕が、楓の首を締め付けます。
そこに戻ってきた誠之介と覚禅ですが、しかし部屋はもぬけの殻。覚禅は闇童子の手引きだと噛み付くのですが、誠之介はそこに残された鏡を見つけるのでありました。
さて、アジトの船小屋に楓を連れ込む道士。その後をつけていた童子は、地図は自分に渡せという道人のお達しと偽り、地図を取り返すことに成功します。しかし、誠之介のもとに戻ろうとする童子の前に道士が出現、崖に追い詰められた童子は、地図もろとも転落してしまうのでした。
宿で一人童子を待っていた誠之介の前に辿り着く童子。しかしただでさえ深傷を負っていた彼は、地図を誠之介に差し出すと、そのまま息絶えるのでした。これでおいらを味方だと信じてくれるかいと呟いて…
さあ、誠之介の怒るまいことか! 一人船小屋に現れた誠之介は、真正面から配下をぶった斬り、小屋の中へ。しかしそこは蛻の殻、目の前で閉じた扉が鏡と化し、中には楓を抱えた道士が…道士の術にかかったように鏡に近づく誠之介ですが、しかし次の瞬間、仙女と童子の形見の鏡を突きつけます!
合わせ鏡の中で術が破れ、現実に戻った誠之介と道士。しかし楓は文字通り道士の手中に…しかしそこに駆けつけた覚禅が道士の注意を逸らし、楓を取り戻します。
ようやく童子の無実を知った覚禅は、配下は俺に任せて小僧の仇を取れと心憎い振る舞い。もはや術の破れた道士に勝ち目はなく、誠之介の一刀の前に破れるのでした。
薄幸の姉弟の墓を作り、弔う誠之介・覚禅・楓…悲しみに浸る三人ですが、しかし戦いはまだ続くのであります。
今回の妖術師
幽界道士
鏡を用いた術を使う道士。建物の扉を鏡に変え、その中で相手を待ち受けるように見せかけて襲いかかる。
尾張藩家老の身代わりとして覚禅に捕らわれ、かえって隠し目付を一掃。楓の持つ地図の片割れを奪おうとするが、闇童子の裏切りに遭い、間接的に彼を殺したことから、怒りの誠之介の前に敗れる。
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