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2012.01.25

「妖術武芸帳」 第10話「怪異魔神呪」

 茶店で、酒代の代わりに襖絵を描く旅絵師と出会った覚禅。それは襖絵を使った幻術を操る白面道士だった。楓と二人、内膳の行列をつける誠之介は、現れた毘沙道人を追うが、その前に道士が立ちふさがる。道士の分形の法を楓の協力で破った誠之介だが、楓が傷を負い、破れ寺に逃れる。合流した覚禅に楓を任せ、道士を迎え撃った誠之介は、苦戦しながらも道士の術を見破り、斬るのだった。

 気がつけば残すところ四話ですが、今回はかなりシンプルな攻防戦がメインのお話。
 四賢八僧随一の腕を誇る(と自称する)白面道士と誠之介の対決であります。

 冒頭、山上で座禅を組む毘沙道人を包む怪しの霧。その中から襲い来る中国風の武人たち――と、それは道士の仕業。不敵にも師たる道人に腕試しを仕掛けた道士は、わずかニヶ月の間に九人の同志が一介の兵法者に倒されたことを憤っていたのでした。

 さて、誠之介と楓に置いていかれた覚禅は、茶店で一休みしようとしますが、そこにいたのは、金を使い果たしてしまったという旅絵師。酒代代わりに、襖絵を描く絵師を面白がって、覚禅は判定役を買って出ます。
 と、巧みに川の絵を描いた絵師が絵に霧を吹きかけると、川は現実のものに! ようやく相手が妖術師ということに気づいた覚禅は、絵に逃げ込んだ絵師を追いかけますが、気がつけば、襖絵もろとも二人は消え、覚禅は川に転落していたのでした。
 この絵師こそが白面道士…道士は覚禅に配下をけしかけて、自分は姿を消します。

 一方、楓とともに大住内膳の行列をつける誠之介を襲う道人配下。これを蹴散らした誠之介は、山中に逃げていく道人を追いますが、その前に現れたのは道士。

 道士は二人、四人とどんどん自分の数を増やす分形の法で二人を押し包み、大いに苦しめます。
 ここで地面に落ちる影に気づいた誠之介、火のついた棒手裏剣を樹に次々と打ち付ける楓のフォローを得て本体を見破ります(この破り方は定番ですが、舞台は真昼間だったのでちょっと引っかかるものが…)。
 道士を撃退したものの、楓は傷を追い、誠之介は破れ寺に逃れることとなります。

 一方、配下を一人残して片付けた覚禅は、あえて逃した配下をつけて行った先で、道士が寺を襲撃することを知ります。
 床下から寺に入り込んだ覚禅ですが、誠之介は、自分が残るので、楓を連れて逃げろと告げます。
 ここで、滅多なことでくたばる男ではない、とその言葉の通りにさっさと退散する覚禅(と楓)は、いかにも忍びらしいドライさとも見えますが、ここはむしろ、誠之介を信じる心の表れと取るべきでしょうか。

 さて、襲ってきた配下を片付けた誠之介の前に現れたのは、道士の描いた襖絵。斬るたびに襖絵は増え、さらに怪しい霧に取り巻かれた誠之介に、あの中国風の武人たちが襲いかかります。

 と、ここで冷静さを取り戻した誠之介は、パッと天井に飛び上がり、眼下の状況を一望します。
 その彼の目に映ったのは、自分を取り囲んでいた、四方に立てられた襖と、その脇でせっせと襖絵を描く道士(この道士の姿がちょっと可笑しい)。
 術破れたと見て逃げ出そうとする道士ですが、身を隠した襖もろとも、誠之介に斬られるのでした。

 ラスト、ようやくうるさい連中から逃れたかと安心している内膳の前に、嫌がらせチックに現れてニヤリと笑を見せる誠之介と覚禅の姿がなかなか愉快なのでした。

 冒頭に述べたとおり、シンプルな妖術師との対決といった回ですが、強敵との対決は、無条件に盛り上がるものがあったかと思います。


今回の妖術師
白面道士

 その名の通り、半面を白く塗った不敵な男。襖絵に書いた景色を現実のものに変えたり、霧の中から中国風の武人の幻影を見せる。さらにどんどん分身していく分形の法や空中浮遊など、様々な術を操る。
 多くの仲間を倒した誠之介を倒すため、次々と攻撃を仕掛けるが、襖絵の妖術を見破られ、一刀の下に倒された。


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コメント

なんか誠之介に術を見破られるとモロイですな、この番組の敵は... ところで覚禅役の藤岡重慶さん。悪役が多いんですが、この作品では頼もしいです。ところで気になるのは妹の楓さん。最初は、ただの女性(腰元に化けていたらしいので、もちろん忍びだったんですが)と思ってたら、急に忍び装束、忍刀で敵と戦い始めたような感じ。視聴率が厳しいので、彼女も戦うようにした?のでしょうか。ただ戦い始めても誠之介に助けられるあたり、イマイチ頼りにならないような感じ。いや「戦うけど、いまいち弱い」ヒロインは個人的に大好きです(笑)。

投稿: エージェント・スイス | 2012.01.30 00:27

エージェント・スイス様:
この番組の妖術は、結構何かの拍子に解けてしまうのが本当に多く、その辺りは正直ピリッとしないですね。

それにしても、藤岡重慶さんの演じる覚禅は憎めない荒法師ぶりが本当に良いですね。誠之介との微妙な距離感もいい感じです。
そして突然忍び装束になった楓さんですが、最終回を見ると、もしかして兄よりもよほど強いのでは…と思ったり

投稿: 三田主水 | 2012.02.02 00:17

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