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2012.01.15

「逃亡者おりん 最終章」 おりんらしさ横溢、しかし…

 根岸で平和な暮らしを送っていたおりんは、浪人に襲われていた記憶喪失の娘・お菊を助ける。吉原にお菊を匿うおりんだが、浪人たちは吉原を襲撃、お菊を日光に連れ去る。お菊の知る東照宮に秘められた家康の秘密を手に入れ、幕府を倒そうとする浪人たち。その中には、かつておりんとともに戦った弥十郎の姿があった。そして弥十郎の前に、同じ秘密を狙う手鎖人が現れるが…

 タイミング的に最後の民放連続TV時代劇となりかねないことから、一躍脚光を浴びることとなった(?)「逃亡者おりん2」。
 その放送開始を前に、TVスペシャル「逃亡者おりん 最終章」が放送されました。

 2の前に最終章というのもややこしいですが、これは1の最終章という意味でしょう。
 TVシリーズから約5年、前回のスペシャルからは約3年を経て、おりんと暗殺集団「手鎖人」たちとの死闘がついに終幕を迎えることとなります。

 宿敵・植村道悦を倒して、今は組紐職人として根岸の里に暮らすおりんが、浪人たちに襲われていた娘を助けたのが、今回の発端。
 記憶を失っていた娘にお菊と名付け、匿うおりんですが、お菊が実は日光東照宮に隠されているという、徳川幕府を揺るがしかねない大秘密を知っていたことから、おりんはまたもや死闘の世界に巻き込まれることとなります。

 時あたかも田沼時代、賄賂政治の横行に政治は腐敗し、幕府への不満が高まる中、倒幕を志し、その切り札を知る者としてお菊を狙う浪人たち。その中にはかつてのおりんとともに道悦たちと戦った倉沢弥十郎の姿が…

 さらに手鎖人も、道悦を幽閉し、その権力を奪った謎の怪人・宇月斎率いる主流派と、あくまでも道悦を救いだそうとする少数派に分裂。
 おりん、弥十郎と浪人軍団、手鎖人たちと、様々な人間の思惑が、日光東照宮で入り乱れることになるのですが――そこには非情極まりない陰謀が!


 というあらすじのこのスペシャルですが、とにかくスピーディな展開に驚かされます。
 オープニングからして、道悦がいきなり何者かに捕らわれた上、鉄仮面状態で幽閉されるという驚愕の展開。
 その後も、良く言えばテンポのいい、悪く言えば超展開のストーリー展開に目を白黒…正直なところ、あまりの展開の早さに、見ている途中で「今日は1時間なんだっけ!?」と番組表を見直したほどです。

 内容の方も、説明もなしにやっぱり生きていた道悦様をはじめとする、おなじみのキャラクターに、あの危険極まりないBGM、突拍子もないCGに別の意味でハラハラさせられる殺陣と、久しぶりであってもやはり「おりん」は「おりん」でありました。


 しかし、その一方で、本作においては、おなじみのキャラクターたちが時代の流れの中でもがき、そして倒れていく姿が、容赦なく描かれていくこととなります。

 なるほど「最終章」の言葉に偽りはなかったか――と、少々呆然とさせられるとともに、そんな中でもただ一人生き延び、これからもさすらい続けて行かなければならないおりんの姿に、TV時代劇の現状を見た思いがした…
 というのはもちろん嘘で、そんな感傷を吹き飛ばすような「おりん」らしさ横溢の内容を、素直に楽しませていただきました。
(何しろ、道悦様の姿を見ていると、どのキャラも後で平然と生き返ってきそうなので困る)


 そしていよいよ始まる2は、敵キャラクターなど、これまでにも増して大変なことになりそうで、こちらも毎週チェックせねば、と楽しみにしているところなのであります。


関連サイト
 公式サイト

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コメント

実は、「逃亡者おりん 最終章」みたかったんですが、九州在住で、私の県で見れませんでした(泣)。レビューありがとうございます。ところで、私の独断と偏見ですが....おりんは数ある時代劇ヒーロー、ヒロインでは最弱レベルの主役では?(ファンの方すみません 汗)子連れ狼、眠狂四郎、などといった強豪とやりあったら瞬殺されるかも。しかしそんな危なっかしい「おりん」が好きです。


投稿: エージェント・スイス | 2012.01.16 22:24

エージェント・スイス様:
そうですか…ご覧になれないとは勿体ない。2も早くも大変なことに(?)なっています。
というか、おりんさんの殺陣は、本文にも書きましたが本当に色々な意味でハラハラさせられますからね…中の人たちも相当動ける強豪メンバーの前ではさすがに分が悪いと思います。
でもまあ、相手が隙を見せたら「手鎖、御免!」なわけですが…

投稿: 三田主水 | 2012.01.18 23:59

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