« 「水滸百八」更新 | トップページ | 「夜明けを知らずに 天誅組余話」 近世と近代のはざまに »

2012.06.05

「BRAVE10S」第2巻 十番勝負、これより本番!?

 アニメも好評のうちに終了した模様の「BRAVE10」の原作第2シリーズというべき「BRAVE10S」の第2巻の登場であります。
 真田信幸と幸村、兄弟の間で勃発した上田城十番勝負。様々な死闘が繰り広げられてきたこの勝負も、半ばまできたところで、思わぬ展開を迎えることとなります。

 突然(?)上田城に乗り込んできた信幸と幸村の間で、ほとんど売り言葉に買い言葉のようなノリで始まってしまった十番勝負。
 幸村側はもちろん十勇士を、信幸側も意外なメンバーを擁して始まったこの勝負、最初の二試合は
三好清海 vs 本多忠勝
アナスタシア vs 小松
と、信幸側の連勝という結果に。

 そしてこの巻では、第三試合の決着と第四試合から第七試合の開始までが描かれるのですが――
 それぞれ幸村と信幸に小姓として仕える海野兄弟の近親憎悪と主君の代理戦争的側面が絡み合って凄惨な展開となった第三試合。
 ある意味最もこの十番勝負に似つかわしくないキャラクターである伊佐那海が、己の故郷である出雲巫女を騙る出雲阿国に怒りを爆発させる第四試合。

 そして迎えた第五試合は、伊佐那海とは別の意味で激しい戦いには似つかわしくないように見えた弁丸のテロ行為によってとんでもないことになった…と思いきや、別の意味でとんでもないことに。
 この手のバトル展開で、乱入や選手交代(入れ替わり)は日常茶飯事、というか華というべきものではありますが、何と信幸側の残る代表選手が何者かにKOされ、別人に入れ替わっていたのですから――

 この辺りは前の巻で既に伏線が張られていましたが、さて、それでは手を下した者は、と思えばそれは奥州の主、伊達政宗!
 …なるほど、考えてみれば政宗は本作(「BRAVE10」時代を含めて)では一貫して伊佐那海の奇魂を狙ってきた敵の一人であり、ここで乱入してきても違和感がない人物であります。
 さらに言ってしまえば、秀吉の惣無事令を完璧に無視して他所の城に乗り込んできた(信幸の場合は、まあ兄弟喧嘩みたいなものということで)上に、人様の家臣を半殺しして平然としているような無茶苦茶ぶりも、政宗ならまあ仕方ない(…か?)と思えます。

 かくて第六試合以降は、選手どころかチーム交代しての殺死合い。猿飛佐助vs風魔小太郎という、ある意味黄金カードから仕切り直しての開始となります。
 もはや何のための十番勝負なのか、冷静に考えるとわからなくなってきましたが、しかし挑まれて逃げるようでは勇士と言えぬ。十勇士側の残るメンバーも、戦闘能力でいえば真剣に強力な面子だけに、今後の戦いの内容にも期待が持てるでしょう。
(ただし、佐助vs小太郎の一戦は、画として見る分には非常に華麗だったのですが、個人的には、漫画としての動きで見た場合不満のある内容に感じられたのが残念)

 そして小太郎の登場のように、伊達側のカードはまだ伏せられたままというのも、また楽しみであります。
 果たしてどのような切り札が隠されているのか、後半戦を楽しみにしたいと思います。
(ただ、この巻のラストに登場したアイツが、敵味方まとめて三人くらい倒して場をめちゃくちゃにしかねないのが…)

「BRAVE10S」第2巻(霜月かいり メディアファクトリーMFコミックスジーンシリーズ) Amazon
BRAVE10 S 2 (MFコミックス ジーンシリーズ)


関連記事
 「BRAVE10」第一巻 期待度大の新十勇士伝
 「BRAVE10」第二巻 信頼という名の原動力
 「BRAVE10」第3巻 彼女を中心に――
 「BRAVE10」第4巻 そして八番目の勇士
 「BRAVE10」第5巻 いきなり大将戦?
 「BRAVE10」第6巻 十勇士集結! しかし…
 「BRAVE10」第7巻 決戦、五番勝負!
 「BRAVE10」第8巻 今度こそ結集十勇士! そして…
 「BRAVE10S」 新展開、試練の十番勝負!?

|

« 「水滸百八」更新 | トップページ | 「夜明けを知らずに 天誅組余話」 近世と近代のはざまに »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「BRAVE10S」第2巻 十番勝負、これより本番!?:

« 「水滸百八」更新 | トップページ | 「夜明けを知らずに 天誅組余話」 近世と近代のはざまに »