「笑傲江湖」 第11話・第12話 不幸は坂道を転がり落ちるように
前回のラストで桃谷六仙のおかげで内力ズタズタの大ダメージを負わされてしまった令狐冲。彼の長きに渡る負傷ロードの始まりですが、しかしそれに加え、これから坂道を転がり落ちるように様々な不幸が彼を襲うことになります。
瀕死のダメージを負い、息も絶え絶えの令狐冲。師の岳不群が習得した奥義・紫霞功であれば治せるようなのですが、岳不群はもったいぶってなかなか使おうとしません。
そんな中、剣術流や嵩山派の襲撃を受けたことから、岳不群夫妻は、一度流派を挙げて華山を離れ、嵩山派の左冷禅を面詰することを思い立ちます。
一番安全な総本山を離れて敵地に赴くというのは、どういう戦略なのかさっぱりわかりませんが、掌門が言い出したことに反対できるわけもなく(ただし、その分のヘイトは、林平之に向かうのですが)、華山派は下山することに…
と、そこでほとんど身動きできない令狐冲は置いてけぼり。ただ一人、妙にねちっこく彼につきまとう弟弟子・陸大有を残して一行は旅立ってしまうのですが…ここで岳霊珊がトラブルメーカーの面目躍如たる行動を。
紫霞功を習得すれば令狐冲も助かる、と父から秘伝書を盗み出し、それを令狐冲の元に置いてきてしまいます。秘伝書を盗み見るなんて、と病んでも義理堅い令狐冲は、何も考えずに秘伝書を読み上げようとする陸に点穴を食らわせて、その場から飛び出すのですが、そこで出会ったのは今回の騒動のある意味首謀者とも言える儀林の父・不戒和尚。
大体において武林の好漢というのは人の話を聞かず、早飲み込みで誤解する人間が多いですが、和尚はまさにその典型。可愛い娘のため、令狐冲をかっ攫って婿にしようとしたのが回り回って彼に重傷を負わせることとなったのですが、そんな事情は完璧にスルーして、強引に自分の二つの気を注ぎ込んで、令狐冲を治療してしまいます。
おかげで令狐冲は、見た目は良くなったように見えますが、体内には八つの気が混在するという一触即発状態に…
さらに不幸は続きます。娘が秘伝書を持ち出したことを知って血相変えた岳不群が現れたことで傍迷惑な父娘から救われた令狐冲ですが、陸大有の所に戻ってみれば、彼は冷たい骸と化し、しかも秘伝書は行方不明に!
状況証拠的には、どう見ても令狐冲が秘伝書目当てにウザい弟弟子をアレしました、としか見えないわけで、さすがの岳不群の君子面もかなりピキピキきております。
それでも今は非常時というわけで、何とか許されて同行することとなった令狐冲。しかし、途中、空き屋敷に泊まる華山派一行を、謎の覆面集団が襲います。
狼牙棒を持った首領に率いられた一団はやたらと強い。豪雨の中に繰り広げられる戦いの中、華山派は追い詰められ、ついに岳不群以外は点穴されて人質に。それでも屈せず戦う岳不群も、多勢に無勢、ついに点穴されてしまいます(奥義使えばいいのに…)。
さらに間が悪いことに、そこに剣術流と嵩山派まで出現。辟邪剣譜は岳不群の妻か娘が持っているに違いないと覆面首領が(たぶんゲス顔で)誰得なことを言い出したその時――無駄にエコーのかかった声で飛び込んできたのは、ようやく体力の戻ってきた我らが主人公。
「独孤九剣!」「破剣式!」と技の名前を必殺技チックに叫びながら剣を振るう令狐冲は強い強い。豪雨の中大暴れする令狐冲の剣戟は、水をはじき、無数の剣が舞うなかなかセンスのある合成と相まって実に格好良い名シーンであります。
そして剣術流の剣を砕き、覆面集団の目を全て斬るという絶技を見せた令狐冲ですが、そこで令狐冲のスタミナもゼロに。その隙に敵には逃げられてしまうのですが…
そこに残されたのは、体力切れの令狐冲と、点穴を食らって動けない岳不群以下、華山派の面々。
ここで皆が令狐冲の健闘と彼の剣技を讃えれば気持ち良く終わるのですが、弟子たちの前で手も足も出ず敗れた上に、その相手を一番弟子に倒されて面目丸潰れの岳不群は、令狐冲を白い目で迎えます。
この手のタイプの人間は、自分が恥をかかされると逆恨みするものですが、そろそろ「君子剣」の名も怪しくなってきました。いや、本ッ当に器が小さいな、この人は!
師から白眼視され、弟子たちもよそよそしく、温かく迎えてくれたのは母とも慕う岳不群の妻だけ…
猛烈に後味が悪い展開で、次回に続くのであります。
しかしこの作品のヒロインには(今回久々に登場した聖姑も含め)ロクな親父がいませんな…
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