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2012.09.27

「いかさま博覧亭」第2巻 相変わらずの妖怪騒動

 毎度おなじみ妖怪バカの榊と仲間たちが引き起こすドタバタ騒動、「いかさま博覧亭」の第2巻、旧シリーズから合わせれば通巻第7巻の登場であります。
 第1巻の刊行からだいぶ待たされたような気もしますが、単行本派としては待ちに待った続巻であります。

 相も変わらず妖怪絡みの騒動には事欠かない博覧亭ですが、今回収録されたエピソードは全部で3話(+四コマ1話)。

 最初のエピソードは、久々登場、妖怪好きのバテレンのおっちゃんと河童の河太郎コンビの好奇心を満たす(誤魔化す)ために、衝立狸が出るという山中を舞台に繰り広げられる騒動。
 二番目は、人気がなくなった正月の江戸を舞台に、賽銭泥棒に出かけた五徳猫たちお馴染みの付喪神が、神社を守る妖怪と出くわして…というお話。
 そしてラストは、若き日の歌川国芳(猫馬鹿)を助けるために猫絵を売り出した榊に玄能寺の生臭コンビが絡んできたことをきっかけに、意外な大物妖怪との対決に展開していくという、本書のほぼ後半を丸々使った中編となっています。

 そんな内容のこの第2巻ですが、キャラ描写良しギャグのテンポ良し、しかしストーリーと仕掛けが妙に入り組んで…という、良い点も微妙な点も相変わらず。
 後者についてはそろそろ改善していただきたいような気もするのですが――特に引っかけが存在するエピソードでは――それでも、物語全体を通してのトーンはやはり楽しく、本作のファン(≒妖怪ファン、江戸ものファン)であれば、間違いなく満足できる内容かと思います。


 ちなみに個人的に感心させられたのは、最初のエピソードであります。
 カッパ頭コンビを引っかけるための仕掛けを巡るドタバタを笑って見ていたところで感じた小さな違和感が、やがてある人物の意外極まりない過去に繋がっていくという展開には、さすがに吃驚仰天。

 (まことに失礼ながら)たぶん後付けではあるかと思うのですが、しかしあの人物のキャラ付けの背景に、このような重いものがあったとは…と思えば、見る目も(ちょっとだけ)変わってこようというもの。
 そしてまた、皆なにがしかの点で通常の世界からはみ出してしまった者を受け入れる、一種のアジールとしての博覧亭世界は、ここでも生きていたかと感心した次第です。


 そしてもう一点、年表馬鹿としては、本作の設定年代が判明したことが嬉しいのですが、さすがにそういう人間は少数派でしょうか。

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コメント

今回その過去の判明した某キャラの声を同人CDで担当されたのは伊藤美紀さん。相当のベテラン(というかCDドラマの声優中最年長では?)にも関わらず、『マリア様がみてる』(小笠原祥子役)『SHUFFLE!』(時雨亜沙役)『少女チャングムの夢』(チャングム役)で少女役もこなす方なので、このキャラに相応しい?キャスティングですね。

投稿: ジャラル | 2012.09.30 10:43

 よく考えると、前シリーズの最終話の追いかけっこ話にしても、石蕗がえらいあちこち旅している印象があるんですよね。でも、今は余り寺から出ている印象が無い。もしかしたらあの話のあたりからなんですかねぇ。石蕗の事情話が出る事決まったのって。しかし、こうなると空木のただの尼さんとは思えない。いえ、あの能力の高さとか色々と普通じゃ無いですが。実は石蕗の娘で不老では無いが、かなりゆっくり年を取るとか。そういえば蓬ちゃんはろくろ首。不老なんでしょうかね? だとしたらいつまで経っても柏と若夫婦やってそうだ。
 後は猫馬鹿絵師ですが、榊が毎度メシ食わせてるから保ってる様な感じが。というかあんだけ死にかけたんだからちったぁ自重すれば良いものを。自重できないから馬鹿なんでしょうけれど。同人CD買っとくべきであったろうか? イメージと違っていたらと思って躊躇してしまった。今回一番わらえたのは最後の話で一番怖いのが誰かよくわかった事ですな。鉄鼠が前シリーズの人魚みたいになるんだろうなぁ。

投稿: almanos | 2012.10.03 23:36

ジャラル様:
そういえばドラマCD第2弾を買っていませんでした…まあ、声優さんのリアル年齢を話題にするのは禁物(?)とはいえ、いつもプロの方の力には驚かされるばかりです。

almanos様:
何気に石蕗さんは過去がありそう…と思っていましたがさすがに驚きました。しかしそうするとその石蕗さんをこき使っている空木さんは…という感じなのですが(笑)
同人CDは、第1弾は買いましたが、キャラの声自体はイメージ通りだったので、その点は安心だと思いますよ。

投稿: 三田主水 | 2012.10.14 17:26

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