「笑傲江湖」 第23集「吸星大法」/第24集「逆襲」
ようやく巡り会った最愛の人と引き離され、師匠から破門され、ついにはわけがわからないうちに湖底の地下牢に幽閉されてしまった令狐冲。しかし思わぬところから彼の逆転ロードが始まる…ということで、ドラマ版「笑傲江湖」の第23話・第24話であります。
任我行を救出しようとする向門天に利用された末、任我行の身代わりに地下牢に閉じ込められてしまった令狐冲。両手両足は鎖に繋がれ、出来ることは酒を飲むことくらい…
と、そんなある日、彼が発見したのは、任我行が鉄格子に刻んだ武術の秘伝。
地下牢を守る江南四友の一人。黒白子が、その秘伝を知りたがっていることを知った令狐冲は、まあ適当にそれらしいことを言って、騙して牢から出してもらおうと、黒白子が次に来る数日後までに、形だけでも…と秘伝を学び始めるのですが――でたらめを書いてあるように見えたこの秘伝を実践してみたら、何と長きに渡り彼を悩ましていた内傷が癒え、体内でぶつかり合っていた八つの真気が消えた!(と台詞で説明)
しかも手足の枷まで簡単に外れるほどパワーアップ、わずか数日でこれだけ実践できるのも凄い話ですが(原作ではもう少し時間がかかってます)、とにかく令狐冲復活ッ!
さらに、再びやってきた黒白子を騙して牢から出た際に、偶然触れた手から、黒白子の内功が吸い取られ、令狐冲の体内に…
これなん伝説の秘術「吸星大法」、簡単に言ってしまえばMP吸収だけでなく、レベルまで吸い取るエナジードレイン攻撃。悪魔の秘術であります。
細かいことは知らず一端逃げた令狐冲ですが、しかし向門天たちが捕まっているかもしれないと再び館に戻ってくるのですが…そこにいたのは、その彼を助けに来た任我行と向門天、そして任我行が捕らわれていることを確認しにきた東方不敗の配下たち。
思わぬ日月神教内の内部抗争の場に居合わせることとなった令狐冲ですが――このシーンが非常に意義深い。
武術の腕や頭の冴えよりも、党教団への貢献度で決まる身分。粛正の恐怖をちらつかせて服従を迫る権力者。原作が1967年に書かれたことを考えると、この辺りが何を、誰を想定して書いていたかは容易に想像がつきますが、これをあの時代に書いた金庸先生の度胸が凄まじい(そしてその原作が中国でこうしてドラマ化されているのも)。
閑話休題、権力闘争で任我行を幽閉し、さらに殺そうとする東方不敗一派、そしてある者は三尸脳神丹なる恐るべき薬でもって服従させ、またある者は弊履の如く使い捨てて顧みない任我行――「笑傲江湖」の語に象徴される本作の精神とは対局にある、権力に踊らされる者たちの醜い姿は、令狐冲だけでなく、我々の胸にも強い嫌悪感とともに残ります。
そんなわけで任我行との同行を拒んで姿を消し、その後再会した任我行から、彼の片腕という破格の待遇を提示されてもあっさり断ってしまう令狐冲(さすがの向門天も超ハラハラ)。
実は他者の内功を吸収する吸星大法には副作用があり、任我行が編み出したその対処法をちらつかされても、一顧だにせず、その場を去ろうとするのですが…そこで任我行の口から盈盈の名前が――
と、令狐冲を救う代償に、十年間少林寺に幽閉されることを選んだ盈盈。しかしその後令狐冲の消息が全く聞こえないことに業を煮やした彼女は方証大師にくってかかります。弱った末に、大師は既に令狐冲はここにいないこと、そして任我行が復活したらしいことを語り、盈盈が寺を出ることを認めるのでした。
…が、その動きを察知した嵩山派の左冷禅はまたも奸計を巡らせます。
盈盈が少林寺にいると噂を流す→邪派の連中が救出に押しかける→困った少林寺が助けを求めてくる→五岳剣派として乗り込んで、少林寺も自らの配下に! と。
その策は当たり、各流派に救援を求める少林寺。久々に登場した華山派の岳不群も、また無駄に令狐冲にヘイトを燃やし、少林寺に向かいます。
そんな江湖の動きも知らず放浪を続け飲んだくれる令狐冲。そこに、胡弓を手にした納谷六朗声の素敵な爺様が…というところで次回に続きます。
「笑傲江湖」(マクザム DVDソフト) Amazon
| 固定リンク
コメント