正派も邪派も令狐冲も、皆すれ違いまくりの「笑傲江湖」、しかし今回ついに役者が一同に会することになります。
前回、令狐冲に莫大先生が声をかけたところで終わりましたが、実は先生、これまで令狐冲の人となりを観察していたとのこと。その上で彼を認めた先生は、盈盈を救おうと五覇岡に集まった邪派が少林寺を襲撃しようとしていることを告げ、彼がその盟主となって、混乱を収めるように依頼します。
その言葉を受けて五覇岡に向かった令狐冲ですが、待っていたのは本ッ当にまとまりのない連中。そこを持ち前の明るさと盈盈の想い人という実績(?)でまとめた令狐冲は、一同を引率して少林寺に向かうことに。
が、その途中、武当山の麓で彼らの前に現れたのは、ロバに乗った曰くありげな老人。成り行きから老人と立ち会うことになった令狐冲ですが、相手が操るのは太極剣法――その正体は、武当派の掌門・冲虚道人! いきなり武林の大達人との対戦ですが、令狐冲の独孤九剣がかろうじて勝利を収め、道人は負けを認めるのでした。
一方、旅を続ける盈盈は、立ち寄った食堂でおそらく嵩山派の刺客の総攻撃を受けて苦戦。そこにもの凄い勢いで突っ込んできたのは向門天、そして外でバカ笑いしながら強風を起こしている(ここだけ「スウォーズマン」調)のは任我行。
刺客を一蹴した親子は涙の対面、向門天ももらい涙ですが…前回、いやというほど敵対者には冷酷非情な面を見せた任我行も、一人娘との再会には一人の親として涙を流すというのが実にいい。この後の展開も含めて、問題点は多々あるものの、彼もまた魅力ある一個の大人物と認めざるを得ません。
さて、再び少林寺に向かった令狐冲一行ですが、無用な争いを避けようと避難した方証大師のおかげで寺はもぬけの殻。それでは下山しよう、と思いきや、待ち受けていたのはこれまたおそらく嵩山派の伏兵。
進退窮まった…と思いきや、ここで桃谷六仙が偶然抜け道を発見、無事下山できた令狐冲は、一行を解散(この辺、修学旅行の引率の先生チック)。自分のみ少林寺に戻るのでありました。
これで一段落、正派の面々も少林寺に戻ってきた…と思いきや、そこにやって来たのは任我行・盈盈・向門天の三人。そしてここからが任我行の独演会の始まり。
事もあろうに、彼は五嶽剣派+少林・武当派(あと青城派)の掌門という正派最強の面々を前にして、自分が尊敬する人物・軽蔑する人物を挙げ始めるのであります。
曰く尊敬する人物は東方不敗・風清楊・方証大師、次点で冲虚道人(華山派で寧中則は知っているが岳不群? 知らんなと)。軽蔑するのは左冷禅(青城派の人は論外)――
この辺りの絶対的な自負からくる大胆不敵な上から目線は、喩えるならば範馬勇次郎チックで、ある意味痛快ですらあります。
そんな挑発に正派も黙っていられるわけがない。よせばいいのにまた方証大師が言い出した「少林寺で10年」をかけて、三本勝負の開始というバトルもの的展開であります。
第一戦、方証大師vs任我行は、吸星大法を一歩も引かず迎え撃つ易筋経という玄人受けする展開となるも、とばっちりを食いそうになった青城派の人をかばった大師がダメージを食って正派×。
そして第二戦、左冷禅vs任我行は、吸星大法に寒冰真気を合わせて、任我行の内功を凍てつかせるという意表を突いた技で左冷禅が勝利(既に拳法ものじゃないですな…)
そして第三戦、正派側は冲虚道人が、邪派側は任我行に替わって向門天…と思いきや、任我行は令狐冲を指名。ずっと隠れていた令狐冲ですが、達人揃いのこの場では、みんなに既にバレていたと見えます。
しかし空気を読まないおっさんに呼び出された令狐冲には針のむしろ。娘婿だの次の代の教主だの、岳不群なんて余裕でポイよだの…方証大師、莫大先生、冲虚道人と素敵爺さんたちは彼の味方ですが、当の(元)師匠夫妻は完全に敵扱い。いや、岳夫人の方は、それでも思いやりが見えますが…
そんな中、既に勝負済だよと道人は敗北宣言。邪派が二勝一敗、これで滞りなく下山できる…と思いきや、そこに名乗りを挙げたのは岳不群。
裏切り者のバカ弟子は私が制裁するッ! とばかりに出てきましたが、絶対この人、令狐冲が自分に手を上げられないこと計算の上だよね…と、もはや誰の目にもわかるくらいこの数回で視聴者にも周囲の掌門たちにも株が下がりっぱなしの偽君子に、令狐冲はどうでるか? というところ以下次回であります。

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