「猿飛三世」 第1回「秘伝七術の巻」
大坂の陣から数十年後、山中に暮らす猿飛佐助の孫・佐助は、里を訪ねてきた高波藩重役・梅宮主膳の娘・お市に惹かれ、京まで供をする。高波藩が御家騒動の渦中にあると知り、お市の助けとなろうとする佐助。しかし、かえって藩のお取り潰しを狙う京都所司代の罠にはまってしまい、主膳ともども窮地に…
地上波で連続TV時代劇がなくなってから数ヶ月ですが、その間もBSプレミアムでは時代劇が放送されてきました。
昔でいう水曜時代劇もしくは金曜時代劇に当たる枠と言うべきでしょうか…原作ものもあればオリジナルあり、時には驚くほどフリーダムな作品もあったその枠の後継として、また新たな作品がスタートしました。
それがこの「猿飛三世」。言うまでもなく猿飛とはあの猿飛佐助(その声を当てるのはサニー千葉!)。真田幸村に仕えて大活躍したというあの大忍者の孫が主人公の、コミカルな時代活劇であります。
かつて猿飛佐助が活躍した大坂夏の陣から36年後の江戸時代。初代佐助の孫、名前も同じ佐助は、決して腕が劣るわけではないものの、生き物を傷つけられないという忍者にしては致命的な弱点から、村では半人前扱いされているという状況。
父親(すなわち初代佐助の息子)である鬼丸は20年前に行方をくらまし、初代から伝わる「秘伝七術」も教わらないまま、うだつのあがらない毎日を送っていた佐助が、里を訪れた美女・お市に惹かれたことから、外の世界で大冒険を繰り広げる――というお話になる模様であります。
お話的にはある意味「猿飛佐助」もの、というか「野生児」ものの定番とでも言いましょうか…山で暮らしていた野生児佐助が、ふとしたことから山を降りて下界で大暴れ、というパターンに当てはまる作品であります。
(もちろん、本作はその佐助を三世、そして時代を太平の時代としたのが工夫であることは間違いないのですが)
その第1話である今回は、基本的な設定と人物紹介篇という印象で、ストーリーともども非常に手堅くあるのですが、しかし何よりも今回印象に残ったのは、佐助を演じる伊藤淳史のはまりっぷりであります。
我々が「猿飛佐助」という存在に抱くイメージ――童顔…というかちょっとサルっぽい愛嬌のある顔立ちで、いかにも人のよさそうな若者というイメージを、ほぼ完全に満たしているのには実に驚かされました。
大袈裟なのを承知で言えば、このキャスティングの時点で本作は半ば成功したようなものではないか…いや、大袈裟ですね。
とはいえ、第1話の時点では、この佐助はまだまだダメ忍者であります。
クライマックスで見事な体術は見せるものの、結局は敵に追い詰められて、異常に強い謎の商人・信三郎(この人、佐助の○○なんじゃ…)にこっそり助けられて命拾い。
お市に慰められて、泣きながら握り飯を頬張るというしまらないラストなのですが――
もちろん、ここから佐助がいかに成長していくかが、佐助が「猿飛佐助」になる姿を描くのが、本作の眼目でありましょう。
頑張れ佐助、あの太陽をつかむのだ!
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