「猿飛三世」 第2回「忍の巻」
京の長屋に住み始めた佐助は京にたむろする牢人と争いになり、お市の目の前で牢人の一人、実は伊賀忍びの赤目に叩きのめされる。その夜、赤目に拐かされるお市。身代金の受け渡し場所に向かった主膳は赤目に追い詰められるが、「忍」の術に目覚めた佐助と仲間たちが赤目を倒し、お市を救うのだった。
BS時代劇「猿飛三世」、第2話は「忍の巻」。本作は全8回ですが、今回を含めた残り7話で、初代佐助が残した「秘伝七術」を一つ一つ体得していくという趣向なのでしょう。
さて、今回は京の長屋に暮らし始めた佐助が、早速壁にぶつかるお話。
長屋で暮らす貧乏牢人が、町でたむろする不良牢人の一派に加わったことを知った佐助は、お市の前で良いところを見せようとするも、一味の中にいたやたら強い男にボコボコにのされた上に、許しまで請う羽目になって意気消沈。
すっかり闘志を失った佐助に失望したお市は単独で牢人の巣に乗り込みますが、その帰りに佐助を叩きのめした牢人――実は服部伴蔵の配下で片目に赤コンタクトを嵌めただけで異常にキャラが立ってる男・赤目に拐かされてしまいます。
実はこの背後にあったのは京都所司代による高波藩お取り潰しの陰謀、この機にあわよくば邪魔となるお市の父・梅宮主膳抹殺を…という企みは、まあ知らずとも、勇気を振り絞った佐助はお市救出に向かう…という展開であります。
と、佐助と赤目、さらに佐助の助っ人に、里から追いかけてきた才蔵とさぼてん(彼女の豪快なドロップキックには大爆笑)の二人が加わって展開されるクライマックスの肉弾戦が実に良い。
赤目を演じる虎牙光揮が実際に動ける俳優だけに、一見無茶に見える動き(さぼてんのハンマーを蹴り上げて、さらにそれを才蔵にシュートするとか)にも妙な説得力が生まれます。
個人的には、刀を持った人間が蹴り技を使うというのは、どう考えても無理があるような気がして好きになれないのですが、この動きを見せられては納得するほかありません。
この強すぎる赤目の前に追い詰められた佐助たち。
しかし、諦めない佐助の心が、奇跡を呼びます。心身ともに立ち上がった佐助は、今まで首に掛けていた初代佐助の忍者頭巾をついに装着! 覚醒した佐助のトリッキーな動きが赤目を翻弄し、ついに赤目を叩き潰し、お市を救うのでした。
…という今回。主人公の挫折と復活を描くお話としてはまあ定番の展開ではありますが、しかし冷静に見てみると、どうにもすっきりしない展開であります。
何故佐助が「忍」の術に目覚めたのか――は、まだ何となくわかるのですが、目覚めたらいきなり強くなったのは何故か(あの猿殺法が「忍」の術ということではないでしょう)、今ひとつピンとこないのがどうにも気にかかります。
この辺り、実際に見ている間は、クライマックスの大迫力のアクションに圧倒されてスルーしてしまうのですが、後になって考えてみると、どうなのかなあ…と。
おそらくは、佐助という未熟な忍者の成長を描くのが本作の主題だとは思いますが、それであればもう少し――佐助の心と技の覚醒の描写に――説得力が欲しかった、というのが正直な印象です。
もっとも、佐助の方はまだまだ成長の余地は大いにあります。
前回同様、今回も渡海屋の番頭・信三郎――謎の男なんですが、公式サイトでは思い切りネタバレされていてびっくり――に助けられっぱなし(この辺りも、仕方ないとはいえすっきりしないところ)で、猿飛佐助の名を継ぐにはまだまだ…といったところ。
あと6回、佐助の成長(の描写)に期待することといたしましょう。次回はいよいよ波岡一喜演じる服部伴蔵が前面に出てくることですしね。
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