「浣花洗剣録」第2集 入り乱れる因縁と血
古龍原作の武侠ドラマ「浣花洗剣録」、第1集の時点でかなりかなりでしたが、本編に入ったと思われる第2集に至っては、先の展開はまだまだ見えぬ状況ながらその底知れぬパワーにほとんどKO状態であります。
前回のドロドロの修羅場から18年後、精悍な若者に育った霍飛騰の遺児・呼延大臧。彼は父代わりであり師である天界流の剣客・公孫梁から剣術を学ぶ毎日。そこに無名流の曹丘達俊なる壮漢が現れ、公孫梁に決闘を申し込むのですが…
もうこの時点で異常なまでの突っ込みどころの多さ。言われなければ全くわからなかったのですが、ここでの舞台は蓬莱、つまり日本(をモデルにしたと国)。しかし建物衣装小道具その他諸々、なんちゃって日本、間違った日本感溢れる異世界、時代考証にはあまりうるさくない私が見ても「俺に聞いてくれれば!」と血涙流したくなるような代物なのであります。ああ、70年代から進歩が…
そもそも剣客二人の名前が中国名な時点で…と思ったら、ここで今回最大の衝撃シーンが。曹丘達俊が公孫梁に手渡した挑戦状に記されていたのは「ささきこじろう(へ) みやもとむさし」(と、本当にひらがなで書いてある)――「燕返し」の時点でもしやと思っていましたが、やっぱり…!
と、ヘンなところでテンションが上がってしまいましたが、両剣客の決闘シーンは、チャンチャンバラバラではなく、お互い対峙して一瞬抜き合わせたと思ったらそこで決着、という演出で、中国と日本の剣術の違いを見せようとしているようで好感が持てました。(決闘する二人とも、精神的にかなり成熟した、強敵を求めつつも敗れて悔いなしというキャラとして描かれております)
…もっとも、刀を合わせた直後に二人の間から衝撃波が横に走って大爆発するシーンで爆笑したのですが(ぶつかり合った力が弾けた、ということなのでしょう)
何はともあれ、この決闘で公孫梁は敗れ、その師の言葉と、意外と大人物であった曹丘達俊の諭しもあって、大臧は腕を磨いて天界流の名を上げるため、そして九大名剣のうち、残る七剣を集めて師の墓に供えるため、中原に渡ることとなるのでした。
一方、大臧の異父弟に当たる青年・方宝玉は、青萍山荘の主である祖父・白三空から武術を学ぶことを禁じられ、学問修行に励まされる毎日。見よう見まねでこっそり武術を学んでいるものの、その腕は幼なじみの美少女・珠児(この子が被ってるのがまた、どうみても西洋風の帽子…まあ、シルクロードから来たのでしょう)にも負ける始末です。
そんな方宝玉と珠児が町の料理屋に入って食事をしていたら、近くの卓にいたのが大臧。二人の出会いはもうちょっと引っ張るかと思いきや、展開早! …というのはさておき、宝玉は大臧が師から受け継いだ長刀(物干し竿というやつなのでしょう)に目をつけ、色々とからかうのですがあっさりとあしらわれるのでした。
と、ここに大臧が現れた目的は白三空への挑戦。彼はこれまで中原各地で武術家と戦い、これを全て破ってきたのであります。
この白三空、前回から年を取ったということか眉毛と毛がなくなった(役者的にはこちらが素)姿はどう見ても悪人なのですが、何か計画を進めている様子。珠児の父・「黄河狂侠」王巓と密談を進めていたのですが…
それはともかく、さきほどの料理屋で激突する大臧と三空。しかし三空の方がまだまだ武術の腕は上で、先に二本取られた大臧は己の名と目的を白状させられてしまいます。
それでも互いを祖父と孫と知らぬ二人の戦いは終わらずヒートアップ、店の外まで飛び出した戦いは、思いの外あっさりと三空が敗れて落命することで決着するのでした。
もちろんこれで収まらないのは青萍山荘の門弟連。復讐に拘らず武当派か少林派に加わって精進せい、という三空の遺言も守らず、大臧に襲いかかるもあっさり一蹴されて…
というところに現れたのは王巓。彼は大臧に対し、お前が望むものを与えてやれると告げて――というところで次回に続きます。
というわけで、冒頭の蓬莱シーンでテンションが上がりまくってしまいましたが、中原に渡ってからの展開も実にスピーディ。
どうやら本作は、原作とはかなりかけ離れた内容のようなのですが、登場キャラの濃さといい(そして次々登場するそのキャラたちが次々死んでいく点といい)、物語の方向性がわからぬままガンガン展開していくストーリーといい、それでいてやたらと面白いところといい、実に古龍的な味わいを感じます。
あまりにテンションが高いためにこちらも一話見ただけでガックリ疲れてしまうのですが、作品のテンションに負けず、頑張ってついて行きたいと思います。
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