「笑傲江湖」 第39集「心の魔」/第40集「鴛鴦の譜」(その一)
長きに渡って紹介してきたドラマ版「笑傲江湖」ですが、ついに残すところあと2話、ここに物語は見事に大団円を迎えます。
儀琳の両親関連の騒動に、こんな時にやることか、と思っていれば、案の定恒山に攻めてきた日月神教。これに対し、令狐冲と盈盈、そして恒山派の主立った門弟たちは、急ぎ神教の本拠・黒木崖に向かいます。
そこで令狐冲に副教主の地位をちらつかせる任我行。令狐冲はこれに対し、恒山派を日月神教に引き込むことはできないため副教主は辞退すること、そして盈盈と結婚させて欲しいと願います。
もちろん任我行がこの二つを同時に認めるわけがありません。この場は大人らしく鷹揚に見逃してくれましたが、一ヶ月以内に恒山派全滅を宣言。令狐冲は盈盈を置いて恒山に帰ることとなります(と、ここで向門天をはじめとする魔教の面々が、令狐冲とにこやかに別れの杯を交わすのに、任我行がこめかみピクピクするシーンが入るのが面白い)。
さて、恒山で何故か竹林に籠もった令狐冲。訪ねてきた方証&冲虚の両老師が見たのは、竹を相手に見事な独孤九剣を振るう(しかしその実、家を建てるために竹斬ってましたという)令狐冲の姿。二人を前に、自分がしてきたことは本当に正しかったのか、と悩む令狐冲に対し、方証大師は、風清揚先生の口訣と偽って、易筋行の秘伝を伝えます。
実は令狐冲の体は、不完全な吸星大法の副作用に蝕まれて…って、ドラマでは全く描かれてないよ! と言いたくなるところ(本当にこの点は大失敗だと思います)ですが、とにかくそれを癒すために大師は気を利かせてくれたのでした。
さて、一方野望に向けて突き進む岳不群は、華山に五嶽派の面々を集めて、洞窟に残された各流派の技を見せようと計画。
もちろんこれに従う恒山派ではありませんが、なんと岳不群は、自分から令狐冲を迎えに行くと言いだすのですが…
その頃、はじめて盈盈と心を交わした緑竹庵を模した庵を完成させた令狐冲の前に現れたのは盈盈。ずいぶんあっさり抜けてきたなと呆れますが、さっそくいちゃつく二人の前に、岳不群が…(早いな)
「こんな時にまで魔女といちゃついているとは」とごもっともなイヤミはともかく、令狐冲に手を貸してやろうという岳不群。また昔のように師弟に戻り、魔教を滅ぼそう(そうしなかったらぬっ殺す)と甘言を弄する岳不群ですが、もう令狐冲がそれに耳を貸すことはなく、岳不群を追い返すのでした。
この時、令狐冲が盈盈に語った、本当の魔は心の中にある、という言葉こそが、本作の一つの結論と言って差し支えありますまい。主義主張ではなく、それを唱え、利用しようとする人の心にこそ悪魔が宿るのだと――
そして一度黒木崖に帰る(帰るのかよ!)という盈盈ですが、帰り道に待ち構えていたのは岳不群。彼女の忘れ物に気づいて追った令狐冲ですが、その姿は既になく…
と、ここまでが第39集。本当に残り1話で終わるのか!? というところですが――
華山に戻り、そこらの破落戸のごとく盈盈を縛り付けて脅しつける岳不群。その姿に呆れかえった岳夫人は「お暇を取らせていただきます」と出て行こうとしますが、点穴されてしまいます。
夫人を置いて洞窟にやってきた岳不群は、五嶽統一の生け贄に、盈盈を血祭りにあげると宣言。五嶽の一員であれば魔女を剣で突け、そうしない者は私の敵だ、という言葉に、思わず漫画版「デビルマン」のトラウマが…
と、ここで高らかに響き渡る笑い声。救いの主は――林平之!? 岳不群打倒の妄執に憑かれ、労徳諾を脅して華山までやって来た平之は、自分が、そして岳不群が実践した辟邪剣譜の秘密を皆の前で語ります。
駆けつけた令狐冲に救われてその場に来ていた岳夫人はその言葉に卒倒、あまりのことに逃げだそうとした労徳諾は岳不群に殺され、何とも厭な空気が漂う中、ついに林平之と岳不群が激突することになるのですが――
ここに来るまでも一苦労だった盲人の平之に勝ち目はもとよりありません。あっさりと岳不群に後ろからどつかれて崖の下に転落。ここに霊珊の最期の願いも空しく、平之も惨死を遂げるのでありました。
その間に盈盈を助けて立ち去ろうとする令狐冲を呼び止めた岳夫人、いや寧中則は、自分をここから連れ出して欲しいと告げ、一瞬の隙に自らの胸に(娘と同じく)玉石雌雄剣を突き刺し、命を絶つのでありました。怒りの令狐冲は岳不群を一蹴、盈盈とともに寧女侠の亡骸を抱き、華山を去ることに――
以下、その二に続きます。
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