「猿飛三世」 第4回「人の巻」
右大臣家に招待されて琴を弾くことになったお市に供しようとするが、家格を理由に断られてショックを受ける佐助。一方、京で暮らし始めたさぼてんや才蔵もそれぞれに問題を抱えていた。悩み続けた佐助は、牢人狩りの役人を前に「人」の力に目覚めて大暴れする。その頃、所司代では新たな陰謀が…
全8回のうちもう前半ラストの第4回は「人の巻」。佐助たち三人忍者が、人の世の現実というものに直面することとなります。
何だかんだで京で暮らし始めた佐助・才蔵・さぼてん(あと佐助母)ですが、働かざるもの食うべからず。ほかの二人がそういう側面では普通に頑張っているのに対し、生活力のない佐助は日銭を稼ぐのも苦労している印象です。
そんな状況でもお市様に櫛をプレゼントしようとするのは、ほほえましいと言えばほほえましいのですが、供として外出するのを拒否されるという、身分の差をそれとなく、いやはっきりと思い知らされて、釈然としない想いを抱くこととなります。
(それを言葉にして叩きつけるのが、佐助の○○であることが明白となった――まあ、今までもバレバレではあったのですが――徳三郎というのはなかなか面白い)
もっとも、ままならぬ想いを抱えるのは、ほかの二人も同じ。
さぼてんは町で出会った僧に叶わぬ想いを抱き、才蔵は方便に選んだ取り立て屋として長屋から追い払った浪人父子の父が行き倒れて亡くなったことを佐助や子供に責められ…
どちらも自分自身ではどうにもならない、しかし周囲からは非難されてしまうという状況に陥った中で、どうすればよいのか? 今回のテーマは、ここに集約されるかと思います。
結論から言えば、これに対し、明確な答えが示されることはありません。三人三様の悩みは、彼ら自身の手ではなく、ある意味状況が解決することになります。
既にお馴染みになった佐助覚醒も、今回は幕府の牢人狩りに巻き込まれた件の牢人の子を助けるために役人相手に暴れ回るというシチュエーション。
確かに牢人狩りはひどすぎるものだったとはいえ(ってこんなに豪快にやってたかは知りませんが)、この辺りはほとんど八つ当たりで、これで人の道に目覚められても…とは思います。しかしその反面、ギャグかシリアスか中途半端なよりも、今回のようにままならぬものをままならぬままで終わってしまうような話の方が、よいのかもと思ったのも事実ではあります。
が、本当にそんなモヤモヤを抱えたまま終わったら良かったのですが、そこに取ってつけたように(本当に!)服部伴蔵の配下で前回も登場した黄不動が襲いかかったのは興ざめの一言。
その闘いの結果も不完全燃焼で、これは本当にどうしてこうなった感しか残りませんが…
それにしても、佐助とお市の身分の差を描くのであれば、お市の結婚の話の方が…と思っていたら、次回はまさにそのエピソードということ。今度こそままならぬままに終わってはまずい話に、どう決着をつけるのか?
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