「浣花洗剣録」第7集/第8集 決戦前夜、引き寄せ合う男と女!
気がつけばこの「浣花洗剣録」ももう全体の1/5。落としどころがわからないだけに実感も湧きませんが、これまでの怒濤の展開に比べ、比較的落ち着いた展開のこの第7、8集では、キャラも掘り下げられるようになってきた感があります。
仇討ちのため、丐幇に身を投じたという木郎神君と別れ、武当山に向かう呼延大臧と珠児。大臧の目的は、武当派の掌門にして武林の現盟主・赤鬆道士との決闘と、彼の持つ宝剣「赤霄」であります。
一方、毒に冒され、オガワゴム仮面から化毒綿掌を習っていた方宝玉は、さらに「君子剣」なる武術(その名前は危険な気が…)を習い始めますが、気を入れすぎたかダウン。
折りよくそこに通りかかった大臧は珠児の懇願に微妙に複雑な顔をしつつ、宝玉を連れ、武当山は白雲観に向かいます。
さて、その白雲観に集っていたのは、赤鬆道士の他、少林寺の晴空大師、さらに侯風と奔月、そして謎の女性・蓉蓉…実は彼女こそは若き日の赤鬆が恋に落ちた相手。そして二人の間の子が奔月だったのであります。
色々と立場があった赤鬆は晴空の仲介で侯風に奔月を預けていたのですが、今、蓉蓉が死病に冒され、一目娘に…という一幕と相成ったわけですが――
多感な少女、それもかなりのお父さん(=侯風)っ子が、いきなり「私がお母さん(お父さん)だよ!」と言われて納得するわけがない。非常に釈然としない表情の奔月の前で、蓉蓉は生き絶えてしまうのでした。
と、さらに事態を混乱させるように、その晩、白雲観に現れたのは、白水宮の白水聖母。彼女は侯風が宝玉を解毒しないことを詰り、指弾の要領で宝玉の口の中に解毒の神水を投げ込みます。
何故か宝玉の身を案じるような聖母の後を追った侯風は、宝玉に武術を教え、そして両親の真実を告げる、たとえ自分が仇として討たれようとも――と語ります。これに対し、宝玉の母である白艶燭は、崖から落ちて白水宮に助けられ、武術を自分から教わったこと、神水と毒薬は艶燭から譲られたこと、そして艶燭はいま行方不明であると語る聖母。
…他人事みたいに言ってますが、もしやアナタが艶燭さんではないですか、と問いたくなったものの、かつて彼女恋しさに服毒ストーキングやまるで事故みたいな(事故です)兄殺害をやってのけた侯風がノーリアクションということは、そうか別人なのか!
と思っていたらやっぱり艶燭=白水聖母じゃないですか! 何やってんだ紫衣侯!
しかし先代亡き後、聖母を継いだらしい艶燭ですが、大臧だけでなく脱塵郡主、木郎も仲間に入れようとするなど、その狙いが那辺にあるのか、まだまだ不明であります。
さて、愁嘆場の最中、半ば強引に赤鬆と決闘の約束を取り付けた大臧ですが、何せ相手は武林の盟主、珠児は気が気ではありません。ついに美しく花が咲き乱れるアブラナ畑(たぶん儀琳が令狐冲を背負って歩いたとこ)で、彼女は自分の気持ちを彼にぶつけるのですが…
そこで剣の道に生きる武士の孤独を、彼の師・公孫梁とその妻の悲劇を挙げて語る大臧(この喩えの時点で脈アリみたいなものですが)。公孫梁は、ある決闘に妻(蒼井優チックな儚げな顔立ちで、しかし着物の襟がだらしない人)を振り払って臨もうとし、彼女は夫の刀で自らの命を絶ったのです。
そして半ば抜いた刀を珠児に見せる大臧ですが、珠児は死ぬのは怖くないと刀を首に当て、問いかけます。「一つだけ答えて。私のことが好き? 死ぬ理由が欲しいの」
その言葉に虚を突かれたような大臧の瞳にやがて浮かぶ熱い涙。己の指が傷つくのもかまわず刃を握りしめた彼は「気の強い女だ 負けたよ」と囁くと、彼女を抱きしめるのでありました――
このくだりが原作にあるのかは存じ上げませんが、しかしこの辺りの描写は見事に古龍節で唸らされました。今回のハイライトは、間違いなくこのシーンでしょう。(またこの時の、本気で死ぬという決意を固めた一方で、彼に抱き寄せられるとしてやったりとニッコリしてしまう珠児の感情の振れ方の描写が実にイイ)
さて、一方の赤鬆は、愛妻に死なれるわ娘にはそっぽを向かれるわ、メンタル的にはどん底状態。彼を訪ねてきた「黄河狂侠」王巓と酒を酌み交わしながら思わず泣き言をぬかしてしまうのでした。そう、およそ一番信用できそうにない相手に。
しかし決闘の当日、彼のもとを訪れたのは、見かけは意地汚い酔っぱらいながら、実は武林有数の剣の遣い手、「酔侠」金祖揚(酔ってフクロにされていたところを脱塵に拾われて連れてこられた)。金祖揚、そして侯風がスパーリング相手を買って出て、ようやく調子を出してきたようですが…
そこでほとんどバレバレの謎の黒幕のもとを訪れたのは王巓。実は赤鬆の酒の中に遅効性の毒を入れていたという王巓、さらに赤鬆の秘密を握ったと…ホラやっぱり信用できなかった! というところで今回はおしまい。
さて黒幕の次の手は、そして着々と死亡フラグを立てる赤鬆…というより、また恨みを買いそうな大臧の運命が心配であります。
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