「妻は、くノ一」 第5回「いのちのお守り」
ついに後半に突入し、物語の終わりも近づいてきたドラマ版「妻は、くノ一」。第5話は、原作第3巻「身も心も」の第5話「後生小判」をベースとした「命のお守り」――織江の存在がきっかけで、彦馬の身に思わぬ危機が訪れることとなります。
文字通り己の身を擲って、くノ一としての任務を続ける織江。しかし彦馬が松浦静山に何かと目をかけられていることに周囲が――特に織江の上司たる川村が――疑念を持ったことで、織江もまた、彦馬に情けをかけているのではないかと疑われることになります。
さらに、静山の懐刀(という疑いをかけられている人物)であり、織江の任務の邪魔になる人物と目された彦馬もまた、危険人物として目を付けられることに…
一方、自分がそんな目で見られているとも知らない彦馬は、教え子の一人・藤松が、一両小判を十五文で客に買わせて川に投げさせるという父の商売を助け、川に飛び込んではその小判を拾っていることを知ります。
しかし、寺子屋で足に怪我を負ってしまった藤松は川に潜ることもできなくなり、彦馬は彼らのために新たな商売を考えることになるのですが…
そしてクライマックスは、この二つの流れが交錯することとなります。
彦馬の発案によりうまくいくかのように見えた新商売。しかしそれがもとで不良侍に絡まれた彦馬は、人前で彼らに散々に叩きのめされることに。
その場に居合わせた織江は、しかし、川村もまたその場にいることに気づき、動けなくなってしまうのですが…
ここで倒れ伏した彦馬が手を伸ばすのが、刀ではなく――というのが今回の肝。彦馬が
真に手にしたいものは戦う力ではなく、真に守りたいものは、織江との愛…
というのは、こうして文章にしてみるとかなり気恥ずかしいものがありますが、しかしそれをほとんど無言のうちに映像で見せたのは、なかなかに美しい描き方であったと思います。
そしてその姿を見て、川村が逆に彦馬を取るに足らぬ腰抜けと見て警戒を解く、という展開も面白い。
この辺り、原作では織江の後をつけてきた川村が、現場に行き当たり、なんとなく見逃せなくて彦馬を助けてしまうという展開なので、かなり似て非なる展開となっているのも、なかなかに興味深いものがあります…
が、その展開自体はともかく、悪い意味で印象に残ってしまったのは、藤松役の松本金太郎――彦馬役の市川染五郎の長男であります。
親子共演ということで一部で話題となっていた今回の趣向ですが、控え目にいっても周囲の子役との演技の質が違いすぎて(特に藤松と物語上で絡んだおゆう役の子と比べると)…というほかなく、正物語の興を削がれたというのが正直なところであります。
ちなみに原作では藤松に当たるキャラクターは、おふじという女の子だったのですが、それを藤松が女装する展開に持っていったのはなかなかうまいアレンジだと思うのですが…
それはさておき、今回ついに織江の手に渡ってしまった静山の壮図を記した冊子(まあ、その大半を記したのはあの人なんですが…)。静山の、平戸藩の、そして彦馬の運命を左右するその冊子を織江はどうするのか――それによってこの先の物語が、彦馬と織江の運命が大きく変わってくるはずですが…
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