「妻は、くノ一」第8回(最終回) 「いつの日か」
ついにドラマ版「妻は、くノ一」も今回で最終回。ついに御庭番を抜けた織江、目の前でその織江が人を殺める姿を目撃した彦馬…すれ違ってきた二人の運命は、ここにクライマックスを迎えることとなります。
母・政江ともども御庭番を抜け、抜忍となった織江。しかし忍びの掟が、そして何よりも織江に終着を抱き、彦馬の策がもとで恥をかかされた川村が彼女を許すはずもありません。身の安全と自由を手にするために、政江と織江は、自分たちの方から川村を討つことを決意します。
一方、彦馬の方も、織江から「こないで!」と拒絶された――もちろん彼女には彼女の切実な理由があったのですが――ことに大きな衝撃を受けつつも、静山の海外雄飛計画に手を貸し、いつの日か妻を連れて濤の彼方へ向かうことを夢見るのでありました。
…そして再び交錯する二人の運命。静山の周辺を探る幕閣が静山の持ち屋敷を視察に訪れるのに川村が随行することを知った政江と織江は、ここで川村を襲撃することに――
かくて川村と怪忍者・宵闇順平、さらに無数の配下たちと、政江・織江――と、その場の対応に出ていたおかげで成り行きから巻き込まれた雁二郎の間で大乱戦が始まることになります。
これまで比較的アクションは少な目な本作でしたが、最終回の今回は、今まで溜めに溜めたものを解き放ったかのようなアクションまたアクションの連続。それも量だけでなく、質の方もまた見事で、忍者と忍者の、ほとんど留まることなく動き続けるアクション、侍同士のチャンバラとは全く異なる五体全てを使ったアクションを存分に堪能させていただきました。
そして戦いに気づき、その場に駆けつけてきた静山と彦馬。いや、彦馬が来ても足手まといにしかならないのでは、というこちらの予感はやはり当たり、逆に助けられている彦馬ですが…
しかし、ここで彦馬が来ることこそが、何よりも重要なのでしょう。忍びとしての血塗れの姿を目撃し、「来ないで」と言われ――それでも彼は来た。それは、彼がどんな姿を見せられても彼女を愛し、求め続けることを意味するのですから…
そして双方大きな犠牲を払いつつも戦いは終わり、再び織江は彦馬の前から姿を消しました。…しかし、「いつの日か」という言葉を残して。
そう、再び離ればなれとなっても、互いの想いは決して変わらぬことが確認できたのですから――物語は、それぞれの道を歩む二人の笑顔で終わりを迎えることになります。
…そして「いつの日か」という想いは二人だけでなく、私の方にももちろんあります。
二人のキャストを知った際には、正直なところ不安感もあったこのドラマ版ですが、しかし始まってみればそんな想いはすぐに吹き飛び、最後まで毎回楽しみに見てしまいました。
もちろん、原作を完璧に再現したというわけではありません。以前述べたように、原作に比べて相対的に彦馬の出番が減り(おかげで彦馬の有能さがあまり目立たない形に…)、そのため原作のユーモアやペーソスは抑えられた、かなり重たい内容となった面は否めません。
それに原作ファンとしては一抹の寂しさも感じなくはありませんでしたが、しかし小説とドラマで違いがあるのは当たり前。物語の要素を巧みに取捨選択することにより、二人の愛の物語として――そしてもちろんそれは原作においても中心に存在するものではありますが――再構成してみせたこのドラマ版は、紛れもなくもう一つの「妻は、くノ一」であります。
だからこそ「いつの日か」――ちょうど今回のエピソードの時点で原作の真ん中辺り。残る後半部分を、そして物語の真の結末を、いつか必ず見せていただきたいのです。
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