「浣花洗剣録」第28集 悩めるカップル二組と半
味方側(?)のキャラクターが散り散りになった挙げ句、とんでもない裏切り者まで現れて、相変わらず若者たちが大いに振り回される「浣花洗剣録」。ようやく巡り会ったカップル二組と離れている一組の運命は…
前回、砂漠で奔月(と脱塵郡主)と運命の再会を果たした方宝玉。新婚初夜のとんでもない入れ替わりの理由も明かされ、これで奔月とも縒りが戻せる…と思ったら拒絶された宝玉は、「空の月を抱けないのであれば砂に埋もれて死にます」的な中二チックなポエムを残して失踪してしまうのでした。
…が、速攻で見つかる宝玉。おまけに、祖父の仇討ちも、武林を正すという使命も果たせないのに死ぬなんてどうよ、と奔月に叱られるという格好悪さであります(まあ、この格好悪さが宝玉らしくてよいのですが)。
そこにもんのすごいタイミングで現れたはぐれラクダとともに、とりあえず三人は砂嵐を避けて移動するのでした。
一方、崖から落ちた呼延大臧は…岸に打ち上げられたところを誰かに拾われただろう、という予想を裏切り、フラフラになりながら街に現れます。どれくらいフラフラかと言えば、難癖をつけて刀を奪おうとした丐幇っぽい人たちにいいようにボコられるくらいですが――そこに現れて狼藉を止めたのは珠児!
探し求めた恋人の名前を呟きつつ、意識を失う大臧ですが…しかし、珠児には彼の記憶がない。以前、蠱毒を消すために服用した解毒薬の効用はすさまじく、見事に蠱毒を消したものの、その代償として、大臧を含む彼女自身の記憶のほとんどをすっぱりと消してしまったのであります。
そんなわけで自分にとっては見知らぬ若者を、とりあえず寺に連れ帰った珠児に対して恵覚師太は、「ここで死なれたら迷惑だよ」と予想通り人でなし発言。しかし何だかんだいって良い人らしく(というよりたぶん単に大雑把なだけ)、大臧を納屋に寝かしておくことを許すのでした。
それにしても記憶を失った珠児は、これが本来の記憶なのか、それとも頭が真っ白になって精神年齢が退行したのか、かなり無邪気で明るめなキャラクター。
昏々と眠り続ける大臧の横に寝転がって夜空を見上げながら、「あの星が私のお父さん、あの星がお母さん…」などと無邪気につぶやきながら、そのまま自分もうとうとして一緒に寝てしまうくだりなどは、切なくも微笑ましいシーンであります。
さて、三日間寝倒して復活した大臧は、師太から珠児が記憶を失っていることを聞くや、なんとかして彼女の記憶を取り戻そうと――というか自分のことを思い出させようと――奮闘を始めます。
想い出の景色を見せればよいだろうと、二人の想い出が詰まった、(令狐冲が儀琳に担がれた)菜の花畑や川岸を見せるのですが、珠児は全く思い出す様子もなく…というか、師太の寺、こんなに最初の舞台に近いところにあったのか! と驚いたのはさておき、自分のかつての鉄面皮の下の熱い想いを、改めて語らされる大臧君が無性におかしいのであります。こちらも切なくも微笑ましい。
しかし、事情を説明する大臧に対して「大衆演劇以上に数奇な運命ねえ」とかメタギリギリの危険発言を繰り出す師太ですが、何となく僧侶らしく含蓄のある言葉をかけてくれる――しかもそれが自分の師匠のまんま受け売りだったりする――のが楽しいのですが、さてそれでも大臧君が諦めるはずもなく…
と、ここで再び物語は宝玉一行へ。官兵の襲撃を受けたりしながらも辛うじて砂漠を脱出した一行は近くの街を訪れるのですが、そこに貼り出されていたのは殺人鬼で暴行魔・宝玉の指名手配書。早速賞金目当ての破落戸に襲われ、奔月が暗器で傷つけられるなど、前途多難であります。
これは自分の正体を知った宝玉を除こうという木郎神君の陰謀だ、と力説する宝玉ですが、もちろん脱塵が信じるわけがない。
それならばと、前回登場した木郎配下の官軍の隊長をいきなり捕まえてくる(ほとんど「ここにあらかじめ用意してあります」的に)宝玉。この隊長もまた、えらくあっさりと木郎の企みをベラベラ喋るのですが――それでも脱塵は信じず、かえってみんながグルになって自分を騙そうとしていると騒ぎ出す始末で、普段冷静な彼女のヒスっぷりに驚く宝玉ですが…
いやはや、恋は思案の外、などという資格は彼には(大臧や、行方不明中の侯風にも)ないわけで、冷静に考えると皆恋愛脳ですな…と視聴者が気付いたところで次回に続きます。
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