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2013.11.14

「新笑傲江湖」第2話 東方不敗、妓楼に笑う

 いきなり過去編から始まって驚かされた「新笑傲江湖」。今回の途中から時間軸は本編のものとなりますが…本作の(東方不敗の)恐ろしさをここで我々は知ることになるのです。

 教主・任我行を排し、自らが教主となった東方不敗。任我行の娘・任盈盈は、彼が父にしたことを知りつつも、今はそれを胸に秘め、父が秘蔵していた奥義書・葵花宝典を差し出すことで命を繋ぐことになります。
 ここで、かつて彼女が、何故葵花宝典ではなく吸星大法を会得するのかと尋ねたのに対し、任我行が「吸星大法は太陽が星を引きつける力、葵花宝典はその太陽を追いかける向日葵に過ぎん」というようなことを答える回想シーンが入るのがなかなか面白い。
 もっとも、この説明だと吸星大法は重力を操る技のようではありますが…

 さて、葵花宝典を読んだ東方不敗は、部下に命じて女性を連れてこさせます(今まで女に興味なかったのに、などと言われているところを見ると、東方不敗はもともとそういう男性だったのかも…)。それからどれほど経ってか、東方不敗のもとを訪れた任我行の腹心だった向門天が見たものは――女性たちと笑いさざめく(女子会真っ最中の)東方不敗の姿。女性たちを連れ込んで東方不敗が行っていたのは女子力アップの修行であったか、胸まで膨らんで完全に女性化した東方不敗に向門天は(そしてこちらも)冷や汗タラリ、であります。

 さて、そこで何の説明もキャプションもなく、舞台はいきなり10年後の華山へ。ここでようやく主人公たる令狐冲が登場するのですが――まず描かれるのは、師匠の娘の岳霊珊や弟分の陸大有とともに、学問の師匠をいびって追い出すという何とも締まらない姿。怒った師匠に尻叩きの刑を受けても、尻にあらかじめクッションを入れておいたり、じつにしょうもない(しかしまあ彼らしくもある)やんちゃっぷりを披露してくれます。

 さて、麓の街まで買い出しに出かけることになった三バカですが、中でも陸は密かに貯めた金を持って、(もちろん岳霊珊は置いて)女の子のいる店に行こうと言い出すダメ人間。女の子よりも酒が気になる令狐冲もそれに乗って、出かけていった巨大妓楼では…

 遣り手婆の「武術界最強は東方不敗ですが、この店にいるのは花柳界の東方不敗!」的なアオリとともに派手に姿を現したのは――おい、本物の東方不敗じゃないですか! この展開はさすがに予想できなかった、というより、正直に申し上げて頭おかしいです。

 と、いわば店の太夫クラスらしい彼女は、これと目を付けた男を部屋に引っ張り込むのですが、実は相手は武林の男。密かに近づいて食事に毒を盛ってやるのだと、得々と(しかしこちらがツッコみたくなるほど穴だらけの)東方不敗討伐策を語る彼ですが、東方不敗に一撃で殺された上、死体は謎の粉で溶かされてしまうのでした。
 どうやらこの店、東方不敗の趣味(意味深)と実益を兼ねた場所のようです。

 さて、そんな東方不敗に目を付けて、アフターにストーキングする二人組こそは、予想通りのやられ役・青城派の青城四秀(のうち二人)。相手の正体も知らず絡む二人ですが、そこに駆けつけたのはもちろん令狐冲。彼が二人を翻弄する間に(あと、西方失敗を名乗って岳霊珊が乱入してきたり)その場を逃れた東方不敗ですが、もちろんこれは今後のフラグでありましょう。

 そして本拠(?)に帰った東方不敗は侍女が出した食事に手を付けるのですが…その中には毒が! ってあなた何普通に引っかかってるんですか、とこちらがツッコんでいる間に、侍女はその背後にいた嵩山派の男に首尾を報告。しかし明らかに彼女の存在が邪魔になった男は彼女を殺そうと…

 が、そこに現れて男に点穴したのは東方不敗。彼女にとって毒などものの数ではないということか、いずれにせよ女には優しそうな彼女は、侍女に対して男を殺せば許してやると語ります。
 しかし侍女が刃を振り下ろしたのは自分の身。本気で誰かを愛した自分は幸せだったと語る彼女の言葉をどれだけ真面目に聞いたかはわかりませんが、刃物を持った彼女の亡骸をぶつけて男の命を取る辺りは、実に東方不敗らしくて良いと思います。

 一方、華山に帰ってきた令狐冲は岳霊珊とのんきに冲霊剣法の開発に励んでいたのですが…そこに青城派から苦情の手紙が来たことで、師匠が苦虫を噛み潰したような顔になったところで以下次回。


 と、色々と小技を効かせた展開・描写もあってそれなりに面白かったのですが、全てを持っていったのは妓女になってた東方不敗。どう考えても彼女が今後の台風の目になりそうですが、色々な意味で盈盈の最大最強の敵になりそうですな…


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