「この時代小説がすごい! 2014年版」 単行本も加わって充実の時代小説ガイド
「この○○がすごい!」が発売されると年の瀬を感じますが、昨年は夏頃に発売された「この時代小説がすごい!」が、今年は年末に発売されました。前回同様、今回も作品紹介の一部を担当させていただきましたので、恐縮ですが宣伝兼紹介させていただきます。
今回発売された「この時代小説がすごい! 2014年版」は、前回同様、評論家やライター、編集者や書店員の投票によるランキングを中心に、作品紹介や作家インタビューを掲載したムック…というのは前回同様ですが、この2014年版最大の特長は、これまで文庫書き下ろし時代小説のみだった対象に、単行本も加わったことであります。
確かに文庫書き下ろし時代小説は、いまや時代小説のメインストリームの一つであることに疑問はありませんが、しかし全てではないことは言うまでもありません。ここに今回単行本も加わって二つのランキングとなったことで、今年の時代小説シーンをほぼカバーしたのではないかと感じます。
(ちなみに、前回は作品別のみと記憶しておりますが、今回は作家別ランキングも加わったのは嬉しいところです)
さてそのランキングですが――その結果についてはもちろん実際に御覧いただきたいのですが、今回も実に興味深い結果であります。
特に、比較的傾向が似た作品が多い文庫書き下ろしに対して、時代小説と一口に言ってもより様々なサブジャンルの作品が揃っている単行本の方は、まさに百花繚乱と言うべき結果となっております。
さらに面白いのは、投票者それぞれがどのような作品に投票したかでありまして――と、自分を完全に棚に上げて申し上げますが――ある意味平均的な結果となるランキング以上に、内容に個性が出ているのが本当に面白い。
自分に感性の近い回答者を見つけて、その方が挙げている未読の作品を読んでみる…というのも良い読書法ではないかな、と感じます。
(単純に、あの人はこの作品を! と驚きながら見るだけでも面白いのですが)
さて、そして大変恐縮ながら私が紹介を担当した作品は以下の11作品であります。
上田秀人「表御番医師診療録」
平谷美樹「風の王国」「採薬使佐平次」「藪の奥」
朝松健「ちゃらぽこ」
畠中恵「つくもがみ、遊ぼうよ」
柳蒼二郎「無頼の剣」
輪渡颯介「古道具屋皆塵堂」
天野純希「戊辰繚乱」
篠原景「柳うら屋奇々怪々譚」
谷津矢車「洛中洛外画狂伝」
ああ、いかにも「らしい」ラインナップだと思われるかと思いますが、内容の方も自分らしさを出して書くことができたかと思います(好きなように書きすぎて、他の方に比べると浮いてしまったのは大いに反省しておりますが…)。
閑話休題、私がランキング投票や作品紹介に参加させていただいたことは全く抜きにしても、前回同様にやはり最新の時代小説ガイドとして、非常に意義ある一冊である「この時代小説がすごい!」。
これからも他のジャンル同様、毎年末の風物詩として定着していただきたいものです。
「この時代小説がすごい! 2014年版」(宝島社) Amazon
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