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2014.03.06

「大帝の剣」第2巻 三千世界の最強決定戦開幕!

 新たなる漫画版「大帝の剣」――横山仁による本作もこれで第2巻。前の巻はかなり原作に忠実でありましたが、この巻では原作の展開を踏まえつつも、さらにスピードとテンションを高め、もう一つの「大帝の剣」が生まれています。

 巨大な剣を背負い、揉め事引き受けを生業とする好漢・万源九郎。天空から墜ちてくる流れ星を目撃したことをきっかけとなったように、彼は奇怪な忍びに襲われ、さらに不思議な言動を見せる少女・ランと出会うことになります。
 さらに、牡丹の名を名乗る美剣士――その正体は天草四郎――が登場、さらに流れ星の後からは人と獣が混じり合った奇怪な怪物が現れ…というのは、正直なところこれまで様々なバージョンの「大帝の剣」でお馴染みの展開。
 しかし本作はそれをテンポよく整理し、スピーディに物語を進めていきます。

 この巻でメインとなるのは、源九郎とラン、そして彼女を舞と呼ぶ忍び・佐助サイドと、かの剣豪・宮本武蔵と記憶喪失の忍び・才蔵サイド(牡丹は冒頭に登場したものの出番は少なめ)。

 前者については、舞/ランを狙って次々と襲撃する怪忍者との戦いが描かれますが、クライマックスは源九郎と彼を兄の仇と狙う女忍・姫夜叉との対決でありましょう。
 源九郎の、大抵の物はぶっ壊せるという剣をも防ぐ姫夜叉の黒髪をいかに破るか、という対決のメインの部分も面白いのですが、それ以上に印象に残るのは、これが三千世界最強を決める決定戦の始まりだ、と燃える源九郎の姿でしょう。
 本作の源九郎は、原作に比べると遙かに少年漫画よりのキャラクター造形なのですが、言われてみれば確かに原作もある意味世界最強決定戦。なるほど本作はこういう切り口か、と再確認いたしました。

 そしてまた後者の方のメインである武蔵と人獣混淆の怪人・権蔵の激突も、最強決定戦の一つでありましょう。
 原作では相当の強者だった権蔵ですが、本作の武蔵は原作よりもさらに強い。剣豪vs宇宙生物という、本作を象徴するような対決に、真っ向から剣豪としての技と力で挑む姿は、本作ならでの武蔵像であったかと思います。
(そこから小次郎復活の伏線に繋がっていく展開もうまい)


 しかしまだまだ続く最強決定戦、新たなる挑戦者も現れ、これからもぜひこの路線で行って欲しいと思っているところです。


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