『BRAVE10S』第6巻 大波乱、2.5部完!?
ついに天下分け目の関ヶ原に突入した『BRAVE10S』。言うまでもなく、史実でも真田家にとって大きな意味を持った関ヶ原の戦ですが、本作におけるそれは想像を絶するもの。全く思いも寄らぬ敵の出現に十勇士も大苦戦、大きな犠牲を払うことに――
関ヶ原の戦で真田幸村と言えば、上田城の戦。関ヶ原に向かう途中の徳川秀忠が上田城を攻撃したところ、散々に振り回された末に関ヶ原に遅参するはめになった……
というあのエピソードですが、本作におけるそれは、実に本作らしく、いやそれ以上にとてつもないものでありました。
伊佐那海の力を求めて上田城を強襲した秀忠。その手勢は新たな十勇士たる服部半蔵とその配下に蹴散らされたものの、そこに登場したのは彼の切り札たる存在――スサノオ。
そう、記紀神話の荒ぶる神、イザナギとイザナミの間に生まれたあのスサノオであります。
なるほど、伊佐那海がイザナギノミコトの化身ともいうべき存在であることを考えれば、スサノオのように他の神が存在してもおかしくはないのかもしれませんが、よりによってここで登場するとはタイミングが悪すぎる。
場所は十勇士以外の人間もいる上田城、しかも十勇士のうち、甚八と鎌之介を欠いた状態での戦いに、果たして十勇士は大苦戦。
伊佐那海を守るべくあの男が散り、そしてその伊佐那海も……
そして戦いは終わり、三成は斬首され、兼続は主家を守るのがやっと。そして幸村は九度山へ――
幸村は九度山で無聊をかこち、十勇士は各地に散り、今はただ雌伏の時と言うべきでしょうか。
しかし東軍につきながらも同じく雌伏を強いられ、幸村のようにはそれに耐えられぬ男が一人います。
その男、伊達政宗の前に現れたのはスサノオともう一柱の神。神の猛威を知り、駆けつける才蔵ですが……
いやはや、決して平坦な道を歩んできたわけではない、むしろ苦戦の方が多い十勇士ですが、今回ほど完膚なきまでに叩きのめされたことはありますまい。
冒頭で述べたとおり、関ヶ原の戦は真田家の、真田幸村の運命を変えたとも言える戦いですが、本作においても大きな区切りを迎えたことになります。
そう、ある意味物語はここで一区切り、言ってみれば2.5部完と言ったところ。しかし十勇士のうちある者は去り、ある者は傷ついた状態からの新展開というのは、なかなか重いものがあります。
最も、どん底までくれば、ここからは逆転しかない。果たして散り散りとなった十勇士はいつ再び集結するのか、そして意味ありげに登場した謎の新キャラの正体は……
関ヶ原の戦があっさり終わってしまったのは少々残念ですが、まだまだ先は長い。十勇士の逆襲を楽しみに待つこととしましょう。
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