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2015.11.02

『牙狼 紅蓮ノ月』 第4話「赫夜」

 その美しさが都中の話題となっている姫・赫夜。しかし、彼女に求婚し、それぞれ珍しい宝を集めた五人の貴族が次々と炎羅に襲われ、殺害される。赫夜こそが炎羅と睨む星明だが、彼女と出会った雷吼は、その潔白を示すために奔走する。果たして本当の炎羅はどこにいるのか……

 今回の脚本はゲームやアニメのシナリオで活躍する和智正喜。あらすじからわかるとおり、『竹取物語』をベースとしつつも一ひねり加わった内容が楽しめる回でした。

 龍の珠を手に、赫夜のもとに夜道を急ぐ貴族。しかしその前に赫夜が現れた次の瞬間、何者かにより一行は殺され、宝は奪い取られることに。
 その直後に駆けつけたのは、すでに求婚者が二人、無惨な死を遂げていたことから、赫夜こそが炎羅と目星をつけた星明と、彼女に引っ張ってこられた雷吼と金時。しかし三人目の犠牲者が出たことから、星明はさらに疑いを募らせるのですが……

 しかし半信半疑の雷吼は、物見高い人々に混じって、赫夜に逢うための行列に並ぶことに。炎羅を察知する能力を持つ金時であれば、赫夜が炎羅か否か、すぐにわかるという意図であります。
 ここで、検非違使がうるさいため、行列する人々は和歌が書かれた拝顔の札を買わされる(歌がメインの売り物で、拝顔はおまけ)というのがちょっと楽しいのですが……

 しかしそこに現れたのは残る二人の求婚者、石上麻呂足と車持皇子。二人が争っている隙に大胆にも赫夜の部屋に踏み込んだ雷吼は、金時にその場を任せて(これが事態をややこしくするもと)、大胆にも赫夜を連れてその場を逃れるのでありました。
 自分を救ってくれる人を探しているのだという赫夜と語らった雷吼は、彼女はやはり炎羅ではないと堅く信じるのですが……

 と、その間に石上麻呂足は屋敷で何者かに殺害され、残る車持皇子は太刀を抜いて暴れた挙げ句、牢に繋がれるという有様。しかし車持皇子が破獄し、彼が赫夜のもとに向かうことを察知した雷吼たちは、赫夜の屋敷に向かいます。
 果たして赫夜に刀を抜いて迫る車持皇子。彼が炎羅だと思っていた雷吼ですが、しかしそこで正体を現した炎羅とは――


 というわけで、どう考えても流れ的に赫夜が炎羅としか思えない今回のエピソード(雷吼がほとんど無条件に赫夜を信じたり、彼女が救いを求めているだけになおさら……)。
 が、ラストで明かされる炎羅の正体は、なんと財宝への欲に取り憑かれた竹取の翁と媼、というのにはやられました。なるほど、炎羅になる者は強い陰我を持つ者、ということを踏まえれば、世俗の欲があるように見えない赫夜が炎羅というのは、よく考えればわかることでした。
(ここで炎羅が二体なのが、捜査を攪乱する形になっているのも面白い)

 さて、出現した炎羅も二体だけあってこれまでよりも若干手強く、それぞれ牙狼に首を断たれつつも、翁の首と媼の体が合体、山嵐のような炎羅と化して回転アタックを仕掛けてくるというアクションシーンも、それなりに楽しめました(やはり一撃なのですが)。
 そしてただ一人残された赫夜。救いは雷吼ではなかったと語る彼女は、月の光の中に浮き上がり消えていくのでありました……


 と、正体不明のままで消えてしまった赫夜ですが、交互に放映されている2バージョンのエンディング映像のうち、総キャストバージョンの方に彼女らしきキャラクターが登場していることを考えれば、今後も登場するのでしょう。

 今回は画も良く、無難に楽しめる回であったかと思います。



関連記事
 『牙狼 紅蓮ノ月』 第1話「陰陽」
 『牙狼 紅蓮ノ月』 第2話「縁刀」
 『牙狼 紅蓮ノ月』 第3話「呪詛」

関連サイト
 公式サイト

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