『牙狼 紅蓮ノ月』 第11話「斬牙」
南都の盗賊を束ねる大義賊・天戒丸に呼び出された袴垂保輔。その間に都では保輔の配下たちが、鞠を操る火羅の襲撃を受けていた。都に帰還した保輔は、かつての友人であり蹴鞠の名人である成通のことを疑う。一方、保輔の兄・保昌は、道長の命により、藤原南家に伝わるという白銀の鎧の行方を探すが……
2015年内最後の通常放送だった第11話は、ほぼ完全に袴垂保輔の主役回。以前にメインとなった回は、彼と愛する人の悲しい別れ、そして大盗賊・袴垂の誕生が描かれましたが、今回は意外な展開が待ち受けておりました。
義賊の中の義賊と呼ばれる大物・天戒丸に呼び出され、南都に赴いた保輔。彼の出自をも承知であった天戒丸は、彼を見込んで話があるというのですが……
一方、道長に仕える彼の兄・保昌が道長から命じられたのは、魔戒騎士の鎧探しでありました。都の護りとして、羅城門に代わる新たな門・晴明による陰陽の術・そして魔戒騎士の鎧を求めていた道長。しかし牙狼の黄金の鎧は制外の者とも言うべき雷吼の手に渡っている状況、しかし魔戒騎士は一人ではない、というわけで、保昌は藤原南家に伝わっているという白銀の鎧を探すことになったのです。
そんな中、保輔が不在の間に勝手に盗みに出かけた配下たちは、当たると塵のように消滅してしまう鞠を操る火羅の襲撃を受けて大打撃。都に帰ってきた保輔は、蹴鞠のような鞠という手下の言葉に、ある男の存在を思い出します。
その男とは藤原成通――かつて保輔と蹴鞠の技で(ほとんどサッカー代表選手の座を争うようなノリで)争いながら、焦りのあまりに自爆して足首を痛め、選手生命を絶たれた男であります。しかし彼は流行病で死んだはず……というわけで、保輔をはじめとする世間への逆恨みの念から火羅と化した成通は、河童めいた姿の火羅と化して保輔を狙っていたのであります。
弟がそんな状況とはつゆ知らずもう一つの鎧を追っていた保昌は、かつて政争で道長に敗れて都を追われた藤原時忠の家に、その鎧が伝わっていたと知るのですが――
ここまで来れば大体予想はつくわけですが、保輔こそは、保昌が探していた第二の魔戒騎士の鎧をまとう者。
しかし保輔がどのような経緯で鎧の資格者になるのか……と思いきや、そこで絡んでくるのが冒頭の天戒丸。実は彼こそは時忠の後身! という展開はさすがに予想できませんでしたが、天戒丸、いや時忠に後継者として選ばれた――そう、彼もまた藤原南家の出身なのですから――保輔は、都に戻るまでに修行を重ねていたのでありました。
そして成通との再戦時、偶然その場に居合わせて巻き添えになりかけた保昌を救ったのは、修行の甲斐あって魔戒剣を完全に使いこなす保輔。そして魔導輪ゴルバの力で鎧をまとったその姿は――白蓮騎士・ザンガ!
白銀だけでなく、赤と青が入ったデザインがヒーロー的なザンガは、全ての蹴鞠をかわし、オーバーヘッドキックからの一撃で大ダメージを与え、一撃で火羅を叩き斬ってデビュー戦を飾ったのでありました。
と、前回意味ありげに(?)言及された新たな魔戒騎士の登場回であった今回。正直に言って保輔が魔戒騎士になるのは突然な印象は否めませんが、しかし彼の悲しい過去を思えば、彼がヒーローとしての力を与えられるのは悪くありません。
何よりも、自由の身になったかと思えば、今度は「護りし者」の宿命を与えられることに自嘲する(そう言いつつも、直後に袂を分かった兄を「護る」のがいい)彼の姿は、本作ならではのものであってありましょう。
その一方で雷吼たちは今回ほとんど出番はなし(保輔が今回まで牙狼の正体を知らなかったのは少々意外でしたが……)だったのは仕方ないかな……とは思います。冒頭に述べたとおり、年内最後のレギュラー放送だったわけですが。
もう一つ細かいことを言えば、同名の人物が後世にいる成通の名前をそのまま使っているのは個人的には違和感があったかな……とは思います(その同名の成通が、本作の成通の直接のモデルと思われるだけに)。
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