『風雲ライオン丸』 第15話「脱獄囚を追跡しろ!」
戦闘に特化した怪人ゾリラを造り出したアグダーは、更なる強化のため、腕から刃が飛び出す能力を持つ極悪人・源太を狙う。連行途中で奪回された源太を泳がせてアグダーの居所を知ろうとする錠之助と、源太を助けようとする獅子丸が対立する中、逃亡した源太は三吉を人質にしてしまうのだが……
いきなり思い切り現代的な手術台が出てきてゲンナリさせられるのはともかく、アグダーが手ずから造り出した怪人ゾリラの登場から始まる今回。久々に登場したにもかかわらず、初めはえらくそっけないマントルゴッドも、地虫忍者五人に楽勝(いや、あまり大したことではないのでは……)のその力に感心するほどの強さであります。
そしてさらなるパワーアップを図らんとするアグダーが目をつけたのは、死刑場に連行途中の極悪人・源太。唐丸籠で後ろ手に縛られた源太は、通りかかった錠之助に脱獄の手助けを頼むほど肝の太い奴であります。もちろんそれを鼻で笑って往く錠之助ですが、その直後に地虫とゾリラが一行を襲撃、源太はまず自分の手を自由にしてもらうと、その手首から(?)飛び出す刃!
アグダーの狙うその能力で地虫を斬り倒して逃げ出そうとしたものの、さすがにゾリラには敵わず押さえつけられる源太(ここで「マントルゴッド様に指令を受けた秘密諜報部員だぞ!」と口走るのですが、たぶんハッタリでしょう……なんで源太がマントルゴッドを知っているのかは不明ですが)。そして錠之助は、アグダーが源太を必要としていると知り、その居場所を突き止めるため、連れ去られる源太の跡をつけるのでした。
と、その途中で獅子丸と出会った錠之助は事情を説明するのですが、獅子丸はこれに反発。悪人といっても見過ごしにはできないという獅子丸と錠之助は素手で取っ組み合いを始めるのですが、一度はダウンした獅子丸が、立ち去ろうとする錠之助を後ろから木の棒で殴り倒すという、ヒーローにあるまじき行動で勝利するのでした。
そして地虫たちの前に立ちふさがる獅子丸ですが、源太は獅子丸が戦っている隙に逃亡。しかし今度は錠之助がその前に立ちふさがります。刃を振り回す源太に変身して拳銃を突きつけるという、こちらもヒーローにあるまじき行動を見せる錠之助ですが、やっぱり源太に逃亡されることに――
そしてそこに折悪しく通りかかったのは志乃と三吉、源太は三吉を捕まえると人質にしてそのまま逃げてしまうのでした。そこに追ってきた錠之助は、さすがに志乃に対してすまなそうな顔をしますが、追って現れた獅子丸には「お前が助けた奴がかっさらって逃げた!」と姑息なすり替えを――
しかし次の瞬間には、いつの間にかアグダーに捕まって手術されている源太。そして獅子丸と錠之助の前に現れたゾリラには、源太の意識が……と、この辺がよくわからない展開です。源太がゾリラになっているということは、源太の脳が移植でもされたのか?
それはさておき、地虫忍者に捕まって人質状態の三吉を、背中のロケットでひとっ飛びして奪回した獅子丸は、そのまま彼を小脇に抱えてロケット変身! 三吉と志乃を錠之助に任せ、ゾリラと対峙します。すでに源太を泳がしておいても無意味に思われますが、錠之助は源太を殺すなと獅子丸に告げ、獅子丸も殺しはせん! と力強く応えるのですが――
しかしその直後、獅子丸は崖の上で豪快に爆発を起こし、転がり落ちる無数の岩とともに飛び降りてバッサバッサと斬りつける新必殺技・ライオン千尋落としを披露。さらに刀身から光線まで放ってゾリラを爆破! 言ってることとやっていることが全く違う(いや、手加減できないほどの強敵だったということなのだと思いますが)という何ともすっきりしない展開の末、獅子丸は去っていくのでした。
獅子丸たちともマントル一族とも異なる立場の極悪人の登場、そしてその男を巡っての獅子丸と錠之助の対立を通じての二人の立場の明確化と、題材だけ見れば非常に面白そうな内容ながら、構成や演出がアバウト過ぎてすっきりしない今回。そもそも源太の腕から刃が出るという能力もよくわからないところで、素直に極悪人の脳が必要だった、という設定で良かったのでは……という気がします。
ライオン千尋落としなど、ネーミング的にもビジュアル的にも格好良かっただけに、実にもったいない回でありました。
今回のマントル怪人
ゾリラ
アグダーが手ずから生み出した、全ての能力が戦闘のために作られた怪人。そのままでも無双の怪力を誇るが、極悪人・源太の能力(精神も?)を移植され、腕から岩をも砕く刃を出すようになった。が、ライオン千尋落としで比較的あっさり倒される。
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