ことだま屋本舗EXステージ『戦国新撰組』
本日、ESPエンタテインメント東京本館で開催された、ことだま屋本舗EXステージ『戦国新撰組』を観てきました。昨年の冬の『クロボーズ』に続くLIVEリーディングなるこのイベント、観客の前で、声優が漫画のキャラクターの声を当てるというユニークな試みであります。
今回のLIVEリーディングの題材となっている『戦国新撰組』は、『クロボーズ』と同じく富沢義彦原作の戦国アクション漫画。
朝日曼耀作画による本作は、以前このブログでも第1巻をご紹介いたしましたが、タイトルから察せられるように、あの新撰組が戦国時代にタイムスリップして始まる奇想天外な物語であります。
今回のLIVEリーディングで上演されたのは、原作の第8話まで――現在発売されている単行本第1巻は第5話までが収録されていますが、おそらくは第2巻まで収録される辺りまでが今回上演されたことになります。
池田屋事件後のある日、突如として戦国時代――桶狭間の戦いの直前の尾張にタイムスリップしてしまった新撰組。
その一人、三浦啓之助は、土方、島田らとともに、織田家に士官する前の木下藤吉郎と蜂須賀小六と遭遇し、捕らえられて信長の前に引き出されることになります。
その動きを察知した近藤・斎藤・井上・山崎たちは、土方らを救出するために、織田の本陣を急襲。一方、山南・沖田・藤堂は成り行きから今川軍に潜り込み、織田軍と戦うことに……
という本作は、新撰組のキャラクター数からも察せられるように、かなりのキャラクターが登場する物語。さらにモブが入り乱れる合戦シーンなどもあり、相当賑やかな(?)展開となるのですが――それがこのLIVEリーディングという形式には実に似合っていた印象があります。
特に物語の中で結構なウェイトを占める合戦シーンは、SEによる効果もあいまって相当の迫力。ここだけでもLIVEリーディングの甲斐があった――というのはさすがに言い過ぎですが、漫画ではさらっと読んでしまうような乱戦部分にも引き込まれたというのは、大きな効果であったと思います。
そして内容の方も、先に触れたように第8話までと結構なボリュームではあったのですが、しかし駆け足という印象はなかったのは、これは原作自体のスピード感が相当なものであるためでしょうか。
なにしろ、上で述べたあらすじだけではわからないような驚きの展開の連続である本作。連載の方ではかなりの頻度でショッキングな展開(特に第5話のラストの信長○○にはもう……)が飛び出してくるのですが、それを一気に観ることができたのは、原作読者としても非常に楽しい体験でありました。
(もっとも、このLIVEリーディングにおいては、個人的には第○話、というように分けなくてもよかったのでは……とは思います)
演者の方も、声優オンチの私でも名前を知っている代永翼の三浦啓之助などはまさにハマり役。原作での、根性なしで、それでいていざとなると何をやらかすかわからない(そしてそんな中に様々に鬱屈するものを抱えた)「現代っ子」ぶりをうまく再現していたという印象があります。
もう一つ、楠田敏之演じる土方は、声がついてみるとかなりテンパったキャラだったのだなあ……とも(これは演技への感想ではなく、作中での扱いへの感想ですが)
何はともあれ、前回の『クロボーズ』よりも(物語のテンポなどが異なるとはいえ)より舞台にマッチした内容で、演出等も洗練された印象があった今回のLIVEリーディング。
流行の2.5次元よりもさらに2次元に近い、2.25次元的な舞台ですが、この形式ならではの面白さをまだまだ見てみたいと思わされる舞台でありました。
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