『風雲ライオン丸』 第19話「よみがえれ弾丸変身!!」
マントルゴッドを前に何もできなかった自分が許せず、一人放浪を続けた末に倒れた獅子丸。志乃たちに助けられた獅子丸だが、刺客の怪人オニグモに対し何もできず、志乃に連れられて逃げるしかできなかった。自分自身から逃げないで下さいという志乃の言葉にも無反応に見えた獅子丸だが……
強敵との対峙に打ちのめされて一人放浪する獅子丸から始まる今回。アバンタイトルで砂丘を放浪する獅子丸の姿と交互に、彼の心中が文字で映し出される演出に圧倒されます。以下のような内容の――
「俺は、マントルゴッドを前に何もできなかった」「そんな自分が許せない だから歩きつづけた すべてを忘れる為に」「しかし、マントルゴッドの幻影から逃げることはできなかった」「何処へ行けばいいのだ」
「疲れ果てた今の俺にはそれすらもわからない」「このまま俺は死んでもいいと思った」
もうどんな顔をして見ればいいのか……
そんな獅子丸を拾い上げる志乃と三吉の馬車。その間獅子丸は、志乃と海辺でキャッキャウフフしている夢を見ていたと思ったら、次の瞬間にはマントルゴッドの姿に魘されたりと重症であります。ようやく目を覚ましても、志乃や三吉の言葉にも無反応で、死んだ目は絵的にもかなりマズい状態です。
そんな彼の前に現れたアグダーは、マントルゴッドの秘密を守るためと獅子丸抹殺を宣言し、怪人オニグモを差し向けます。が、そんな状況でも獅子丸は無反応、やむなく志乃は地虫を蹴散らして獅子丸の手を引いて逃げ出します。
しかし地虫たちに崖に追い詰められた志乃と獅子丸。間一髪駆け付けた七之助によって地虫は倒されたものの、気がつけば三吉がいない。姉と男が手に手を取って逃げた間にオニグモに捕らえられるというかわいそうな三吉……。取って返した志乃と七之助に救出され、オニグモがマントルゴッドに呼び戻されたことで窮地を逃れた一行ですが、それでも獅子丸は抜け殻状態であります。
(ちなみにマントルゴッドがオニグモを呼び戻した理由は、ちゃんと獅子丸を追い詰めているか、という督戦のためで……ここで余計なことをしなければ倒せたかもしれないのに)
二人きりで獅子丸を励ます志乃。戦って下さいとは言いません、自分自身から逃げないで下さいという志乃の言葉にも無反応の獅子丸に業を煮やす三吉と虹之助ですが――そんな志乃を残し、獅子丸は一人さすらい続けます。そして崖の上で下を見下ろせば、そこにはマントルゴッドの幻覚が。そして獅子丸は、真っ逆さまに崖から飛び降りて……
しかしそれは死を選んだのではなく、自らを奮い立たせるため。落下途中でロケット変身した獅子丸は、そのまま急上昇して崖の上に戻ると、愛馬を呼び出し一路駆けます(このくだりにかぶる主題歌の、イントロのテンション上がりっぷりが素晴らしい!)
復活した獅子丸を見送る志乃と三吉の歓声を背に受けて、再び現れたオニグモと対峙する獅子丸。しかし完全復活した彼に敵はなく、オニグモをあっさり粉砕するのでした。
戦い終わり、志乃に礼を告げて去る獅子丸。一日だけでいい、一緒に平和な時間を過ごしたいという志乃の切ない願いにも背を向けて――
「弾獅子丸、21才強大な敵、マントル一族を相手に自らの青春をかけて戦う 勇気ある男。人は彼をライオン丸と呼ぶ」
いつものエンディングナレーションが、心に染みる結末であります。
特撮ヒーロー史上でも屈指の主人公の落ち込みぶりが描かれることで語り草の今回。とにかく物語の大半で獅子丸が完膚なきまでに死んだ目をしているのが、普段精悍な表情の彼だけに重く刺さります。
それと同時に、志乃の乙女心が描かれるのも切なく(そして朴念仁に見えた獅子丸の心中にも――というのがまた泣かせる)、ヒーローの敗北と復活劇として出色の回と言えるでしょう。
……前回、獅子丸はマントルゴッドを前に何もできず敗北などしていなければ、そもそも出会ってすらいないことを除けば(前回ラストでは、むしろマントルゴッドに闘志を燃やしていたわけで)。
いやはや、前後のエピソードの繋がりが微妙なことも多い本作ですが、(その内容のインパクトの前にその矛盾を一瞬忘れさせられた点も含めて)ある意味本作らしい豪快な展開、と言えなくもないかなあ……
今回のマントル怪人
オニグモ
獅子丸抹殺を命じられた怪人。仕込み槍と、手から投げる網が武器。闘志を完全に失った獅子丸を追い詰めるが、復活した彼には全く敵わず、一蹴された。「ライオン丸の敵」以上のキャラ付けは薄い怪人だが、巨大なオニグモ型の頭部の造形は見事。
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