『鬼滅の刃』 第六話「鬼を連れた剣士」
禰豆子を連れ、初の任務に向かう炭治郎。毎夜娘たちが消える町で、恋人を攫われた青年・和巳と出会った炭治郎は、町に残った鬼の匂いを追い、新たに娘を攫った鬼と対峙する。しかし作り出した沼の中から自在に攻撃し、しかも三体に分身した鬼に炭治郎が苦戦する中、禰豆子が割って入る……
前回ラストの指令を受けて、ついに隊服に身を包んだ炭治郎。隊服の機能やら黒い日輪刀にまつわる噂やら、非常に説明的な台詞(いや説明ですが)で教えてくれた鱗滝は、禰豆子を入れる箱もプレゼント、炭治郎は「軽い」とえらく喜ぶのでした。
そして布団から直に箱に潜り込んだ禰豆子に、これからはいつも一緒だよと微妙にサイコパスっぽいことを言いながら旅立つ炭治郎。鱗滝は炭治郎の襟元を直して無意味に頷いたり、肩をポンポンしてやったりと、もはや師匠というよりお祖父さん状態であります(箱プレゼントもランドセル的な……)。
しかし正確な位置を知らされていないらしく、いまいちアバウトな感じで歩いて大きな川の近くの町にやってきた炭治郎。そこで早速、モブに半分後ろ指を指される感じで噂される青年・和巳と出会った炭治郎は、前回ラストで恋人を鬼に攫われ、彼女の父親には無駄に凄惨に鉄拳制裁されて踏んだり蹴ったりの彼から話を聞き、鬼の追跡を始めるのでした。その追跡方法がいきなり地面の匂いを嗅ぎ始めるというのは完全に不審者ですが、しかし赤い煙のようなエフェクトで描かれる匂いの描写はなかなかユニークであります。
そんなこんなで日も暮れ、かなり大きなお屋敷の中では、家の娘・トキエが眠りに就こうとしていたのですが――何と布団の下から黒い染みが浮き出し、瞬く間に広がると、突き出た腕が布団から彼女を「下」に引きずり込むではありませんか!
この何ともホラーな展開を察知して走り出した炭治郎は、屋敷の外にまで駆けつけると、FPS視点で刀を構えるのですが――そこだ! と刀を突き刺したのは地面。そう、今回の敵は異能の鬼、地面や壁など堅い面に沼を自在に作り出し、その中から襲ってくる血鬼術の遣い手なのであります。
と、沼から顔を出したと思ったら、高速言語みたいな勢いで歯ぎしりをする沼の鬼(人間の頃からの癖だそうです)。炭治郎は和巳にトキエを預けると、匂い頼りに鬼を追うのですが――沼から出現したのは、同じ姿の三人の鬼! さすがの炭治郎も三人相手は勝手が違い、いくら技を放っても浅手を追わせるのがやっとの炭治郎は窮地に陥ることになります。
さて、ここで現れた三人の沼の鬼はそれぞれ個性に違いがあるらしく、短気な奴・冷静な奴・歯ぎしりしかしない奴とそれぞれなのですが(今見てみると半天狗の原型みたいですな)、うち冷静な奴が、戦利品として喰った相手の身に着けていたもの――残念ながら和巳の恋人のものもその中に――を見せつけたことが炭治郎の逆鱗に触れることになります。
が、冷静さを欠いた炭治郎に鬼の一人が背後から攻撃を仕掛けたとき――箱の蓋がはじけ飛び、強烈な蹴り一閃! それはもちろん箱の中から現れた禰豆子ですが――彼女は鬼に襲いかかる前に、和巳とトキエを慈しむように、二人の頬にそっと長い爪を生やした手を当てるのでした。
実は彼女に、人間は皆家族、鬼は敵だという暗示を与えていた鱗滝。炭治郎に剣を教えるよりも凄いことをやった気がするこの暗示に背を押されるように、禰豆子参戦……
またもや原作の2話分を、ほとんど忠実にアニメ化した今回。きっちりAパートとBパートで1話ずつ消化しなくても――とは思いますが、鬼殺隊としての炭治郎の初陣ということで丁寧に描いたと思いましょう。
そして今回も原作に忠実な分、冒頭の鱗滝の細かな動きや炭治郎のリアクション、鬼に不安を抱く町の様子やトキエ襲撃の描写等、原作で描かれなかった――あるいは一コマ二コマで処理されていたものを丁寧に描いているのはやはり好感が持てます。
映画化分が終わったことで少々心配していたクオリティの方も上々で、意味が分からないアップでの鬼の独白や、ベタなBGMの流し方などひっかかる部分はあるものの、まずは安心して楽しむことが出来る内容でした。
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