『鬼滅の刃』 第九話「手毬鬼と矢印鬼」
無惨の命を受け、珠世邸の炭治郎を襲撃する朱紗丸と矢琶羽。常識外れの動きを見せる鞠の攻撃に苦戦する炭治郎は、愈史郎の助力で鞠を操っていた矢琶羽の術の存在を知るが、十二鬼月を名乗る朱紗丸たちに苦戦を強いられる。朱紗丸を禰豆子に任せ、矢琶羽に挑む炭治郎だが、矢琶羽の矢印に翻弄され……
珠世の屋敷で、鬼を人間に戻す方法について聞いていた最中、突如猛烈な勢いで屋敷に飛び込んできた攻撃。それは手鞠――無惨の命を受けて耳に花札のような飾りをつけた鬼狩り、すなわち炭治郎を襲ってきた鬼の一人・朱紗丸の攻撃であります。次々と投げ込まれ、そして壁で当たって縦横無尽に跳ね返る鞠は、突如として直角に曲がるなど物理的にあり得ない動きで襲いかかり、ついに直撃を喰った愈史郎は頭を粉砕……。
幸い(?)鬼の攻撃で頭を破壊されてもセーフということか、グロ動画のようなビジュアルで下から再生していく愈史郎(しかし、最後にポン! という勢いで髪が生えるのが異常におかしい。それにしても脳みそが再生する前から喋っているのはどういう仕組みによるものか)。彼は腕を六本に増やして更に激しい鞠攻撃を仕掛ける朱紗丸に苦戦する炭治郎に自分の視覚を貸すと語り、炭治郎の額に呪符のようなものを貼り付けるのでした。
と、そこで初めて炭治郎の視界に入ってきたのは、鞠と一緒に動く――いや鞠を動かす矢印。そう、これこそが矢琶羽の血鬼術――炭治郎はようやく鞠の軌道を見切って朱紗丸に斬りかかり、そして禰豆子が樹上に潜む矢琶羽に連続蹴りを喰らわせますが、しかし自分たちを最強の鬼・十二鬼月と名乗る二人は、炭治郎たちの攻撃をものともせず反撃に移ります。
愈史郎の応援してるんだか指示してるんだかわからない台詞を受けてテンパりのカミカミになりながらも、まず矢琶羽に狙いを定める炭治郎。一方、禰豆子は(姿を消して殴りかかるという愈史郎の姑息なアシストを受けつつ)朱紗丸に挑むことになります。
が、鞠を動かすだけに見えた矢琶羽の矢印は、炭治郎自身の体をも動かし、攻撃を逸らすだけでなく、その体を樹や壁に叩きつけ、さらには上空にまで吹き飛ばすという攻防一体の技。そして下段を襲う朱紗丸の鞠を蹴りに行った禰豆子は、しかしそのあまりの威力に膝から下を吹き飛ばされるダメージを負うことになります。
高速で近づく上に無限誘導、刀で受けても同じ効果を喰らってしまう矢琶羽の矢印に対し、直接触れないように矢印の向きを変えることを考える炭治郎。まず陸ノ型 ねじれ渦で矢印を巻き取り、参ノ型 流流舞いで距離を詰める。そして本来は縦回転の弐ノ型 水車を横回転で放つ弐ノ型・改 横水車を放った炭治郎の一撃は、見事に矢琶羽の頸を叩き斬り……
毎回毎回、きっちりと原作を二話ずつ消化していくこのアニメ版『鬼滅の刃』。会話や情報量が多めの回はそれでもよいけれども、アクション主体の回はそれだけで時間が保たないのでは――と勝手に心配しておりましたが、今回示されたその答えは、「アクション描写を補いまくる」という、ある意味実に正しい答えでありました。
凄まじい勢いで迫る朱紗丸の鞠、自由自在に動き回る矢琶羽の矢印を、CGも交えてガンガン動かし、そしてそれに対する炭治郎や禰豆子(矢琶羽に喰らわせた蹴りが、原作では一発だったのが連続蹴りになっているのがいい)も負けずに動くのが実に気持ちが良い。
特に矢琶羽の矢印は、動きの方向を矢印で示すという漫画でこそ映える表現かと思いきや、そこに実際の動きを乗せることで、その効果のほどをきっちり示してくれるのに感心いたしました。
滑り気味だったギャグ描写も、今回は一瞬本当にトチって噛んだのかと思った炭治郎のテンパりシーンや、その直後の愈史郎「あいつらを囮にして逃げましょう」→珠世ドン引き→愈史郎「冗談です」の流れも自然で楽しめました。
この辺りは激しい戦闘シーンの合間にヒョッと入ってくるのが楽しく、やはり鬼滅の刃のギャグはメリハリがあってこそだなあ、と再確認した次第です。
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