『鬼滅の刃』 第十一話「鼓の屋敷」
新たな任務に向かう途中、女の子に抱きついて泣き叫ぶ善逸と出会った炭治郎。善逸を引きずって任務先の屋敷についた炭治郎は、兄が鬼に捕らわれたという兄妹と出会う。不気味な鼓の音が聞こえる屋敷の中に入った二人だが、敵の血鬼術の前に分断されてしまう。さらに炭治郎の前には奇怪な男が……
本当に鬱陶しいなあ善逸は!(笑顔)
……という気分になってしまう今回。冒頭、炭治郎の行く先で女の子にストーカー紛いのつきまといをした上に結婚を迫る(というか結婚して欲しいと泣きつく)という善逸の常軌を逸した行動には、原作初読の時に無言で善逸を見る炭治郎のような顔になりましたが、今回もきっちりそんな顔になりました。
とにかくハイテンションな後ろ向きとも言うべき善逸の言動に呆れながらも、善逸をなだめて任務先の人里離れた和風建築を訪れる炭治郎。そこでさりげなく善逸の耳の良さが描写されるのですが――それは一旦置いておいて、炭治郎は、屋敷の側で震えていた正一とてる子の幼い兄妹を見つけます。
怯える二人を(善逸の)雀を使ってなだめて心を開くのはさすがに炭治郎の長男力と感心――というのはさておき、兄が屋敷の鬼に引きずり込まれたという話を聞き出す炭治郎。とその時、善逸の耳にのみ聞こえていた鼓の音とともにズタズタの青年が窓から落下! 運良くと言ってよいのかはわかりませんが、犠牲者は正一たちの兄ではなかったものの、もはや座視は出来ぬと炭治郎は屋敷に足を踏み入れるのでした。……嫌がる善逸を、炭治郎には本当に珍しい般若フェイスで威嚇しながら。
しかし未だに前回の戦いの傷が癒えていない(本隊もそれぐらい治療させてあげればいいのに――と思えば、そもそもあの戦いの非公式戦のような扱いなのかしら)炭治郎の状態を知って泣き叫ぶ善逸。さらに安全のために屋敷の外に禰豆子の箱と一緒に残してきたお子様二人が(その箱の中からカリカリ音がすると怖がって)屋敷の中についてきてしまい、もはやどうしようもなくグダグダな状況であります。
そしてそんな中に再び響き渡る鼓。ビビる善逸の尻に跳ね飛ばされるという実にしょうもない形で別の部屋に入ってしまった炭治郎とてる子ですが――気付いてみれば先ほどまでいたのとは全く別の見知らぬ部屋。どうやら鼓の音がする度に、部屋から部屋にワープさせられているようであります。
そして残された善逸はやっぱり超パニックですが、そんな彼に対して正一の素晴らしい毒舌がヒット。それでも別に反省せず、パニックになったまま部屋から部屋に移動しまくるというホラー映画であれば真っ先に惨殺されそうな行動を取る善逸ですが――ある部屋を開けてみれば、そこには猪の顔を被った半裸の男が! 和風ホラーだったはずが一瞬にしてアメリカのスラッシャーホラーに転じた瞬間ですが、幸いというべきか、猪男は善逸には目もくれず、どこかへ走って行くのでした。
そして炭治郎とてる子の方は、小生小生連呼しながらブツブツ喋る、体から幾つもの鼓を生やした鬼が目の前を行くのを目撃するのですが――不意打ちができない男・炭治郎が礼儀正しく所属と階級と名乗りを上げて斬りかかった瞬間、鼓の音とともに部屋は回転。鬼はそのまま先に行ってしまい、その次の瞬間、襖だか壁だかを突き破って現れたのはあの猪男! 善逸と違い、炭治郎は猪男が二本の刃が欠けまくった日輪刀を持っていることを見抜くのですが……
本当に鬱陶しいなあ善逸は! ともう一度繰り返したくなる今回。前回ラストに顔見せしたものの、本格的な登場は今回からの善逸は、声と動きがついてみるとさらに鬱陶しいことこの上ありません。もちろんこれは褒め言葉ですが(本当よ?)、いやよくこんなキャラクターを主人公の最初の仲間として出してきたものだと改めて感心します。
正直なところ、相変わらずギャグ演出はむしろ気恥ずかしさが漂うくらいなのですが、アニメオリジナルの、炭治郎にもらったおにぎりを炭治郎も空腹なのを知って半分返す善逸という描写は、この先に描かれる善逸の人間性をちょっぴり先取りする形で、なかなかよいシーンであったとは思います。
そしてもう一人、初登場の猪男ですが――これまたよくこんなキャラクターを(略)と改めて感心するばかり。こちらの活躍(?)は次回からですが、豪快な暴れっぷりに期待しましょう。
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