『鬼滅の刃』 第二十二話「お館様」
鬼である禰豆子を連れていたことで、鬼殺隊最強の「柱」たちに裁判にかけられることとなった炭治郎。彼の言葉は、そこに現れたお館様の言葉と、鱗滝の手紙で裏付けられたかのように見えたが、なおも信じようとしない風柱は、自分の血を禰豆子の箱に垂らして……
那田蜘蛛山で気絶させられ、目覚めてみればそこは美しい日本庭園――ですが、そこにいたのは、ジュエリーをジャラジャラ言わせた妙にガタイの大きなメイク男、ちょっとその胸元はどうなのかしらというピンク髪娘、やたらとハキハキした髪の毛ファイヤーボンバーな青年、何だかよくわからないことを呟く美少年、南無阿弥陀仏の文字がやたらと入った羽織をまとって数珠を手にした巨人なのですから、戸惑わないはずがありません。
唯一知っているのはしのぶですが、「あなたは今から裁判を受けるのですよ」と、何だか中世の魔女裁判をやりかねないこの人に言われると、猛烈に不安になるしかありません。
しかし裁判をやるというのはまだマシなことで、炎柱の煉獄さんと音柱の天元は、鬼を庇うとはけしからんといきなり斬首を主張。岩柱の悲鳴嶼も、色々と酷いことをいいながら結局処刑を主張(何だかときめいている恋柱・蜜璃さんと相変わらずフワフワしている霞柱・無一郎は当てにならず)――と、四面楚歌であります。
さらに樹の上からは白黒羽織に首に白蛇をまいたオッドアイという主張の強すぎる蛇柱・伊黒がネチネチと水柱・義勇さんの責任まで主張。例によって義勇は鉄面皮なので弁護の役には立ちません。そんな状況でも重傷の身を押して、必死に禰豆子が人を喰っていないこと、人を傷つけないことを訴えかける炭治郎ですが――やっぱり柱蓮は聞く耳を持ちません。そんな中でも唯一蜜璃さんだけが、お館様がこの件を把握していないとは思えないと真っ当なことを言いだし、一瞬皆が冷静になったかに思えたのですが……
そこに禰豆子の箱を手に現れたのは、全身傷だらけの上に目はガンギマリ状態のコワすぎる風柱・不死川。そして炭治郎の言葉を一笑に付した不死川は、いきなり自らの日輪刀を箱に突き刺すという蛮行に出ます。もちろん炭治郎が激高しないはずもなく、縛られた状態のままで不死川の鼻っ柱に頭突きを一撃、さらに柱なんてやめてしまえ! と煽りスキルの高さを活かして煽るのですが――何かもう放送禁止みたいな顔になった不死川が大変なことをしでかしそうになったところで、お館様が現れるのでした。
視聴者にとっては二度目――と思いきや、前回は後ろ姿で声のみだったお館様。初登場のその素顔は、半面が爛れ、目も見えないという状態ですが、しかしその声は温かく、落ち着いた挙措の人物であります。そしてこのお館様の前では、○人のようだった不死川もいきなり理性的な態度を示すのですから、その権威の高さと敬愛されぶりがわかろうというものです。
さてそのお館様は、炭治郎と禰豆子のことは自分が容認していたと保証、さらにし柱たちも容認して欲しいと語るのですが――さすがにこれには柱たちにも反対の態度を示す者も少なくありません。そこでお館様が取り出したのはなんと懐かしい、鱗滝さんからの手紙であります。そしてそこに書かれていた、禰豆子を信じる言葉と、何かあった時には自分と義勇が腹を切るという覚悟には、炭治郎はもう感涙であります。
さらに禰豆子が人を襲わないという証明はできないが、人を襲うという証明もできないというお館様の言葉に押されたところに、炭治郎が無惨と遭遇しているという言葉に、裁判どころではなくなる柱たち。これで無罪放免か? と思いきや、それでも何故かムキになる不死川はいきなり刀で自分の腕を切りつけるという自傷行為に出るのでした。そしてその腕から滴る血を禰豆子の箱に垂らす不死川。ついに箱から現れた禰豆子は……
この回の放送前からずいぶんと話題となっていた柱集結回。それもそのはず、柱のキャストは、声優に余り詳しくない私でも知っているような、それぞれが主役級の面々勢揃いであります。義勇、そしてしのぶ以外は初登場の面々ですが、それでもその背後にドラマを感じさせてくれたのは、キャストの力あってこそ――というほかありません。
しかし物語面で驚かされるのは、柱たちが全く炭治郎と禰豆子のことを知らされていなかったことで――これだけの重要情報が共有されていなかったというのは、鬼殺隊の運営はどうなっていたのかと、少々、いやかなり不安になります。
タイトルロールのお館様は全て把握していたわけですが、大事な情報をこの方を一人で握っていたこの方、やはり意外と腹黒かったのでは――と思わないでもありません。
(無惨との遭遇まで知っていたのは、これは珠世さんから連絡があったということなのか――珠世さんから連絡しそうには見えませんが)
『鬼滅の刃』第10巻(アニプレックス Blu-rayソフト) Amazon
関連記事
『鬼滅の刃』 第一話「残酷」
『鬼滅の刃』 第二話「育手 鱗滝左近次」
『鬼滅の刃』 第三話『錆兎と真菰』
『鬼滅の刃』 第四話「最終選別」
『鬼滅の刃』 第五話「己の鋼」
『鬼滅の刃』 第六話「鬼を連れた剣士」
『鬼滅の刃』 第七話「鬼舞辻無慘」
『鬼滅の刃』 第八話「幻惑の血の香り」
『鬼滅の刃』 第九話「手毬鬼と矢印鬼」
『鬼滅の刃』 第十話「ずっと一緒にいる」
『鬼滅の刃』 第十一話「鼓の屋敷」
『鬼滅の刃』 第十二話「猪は牙を剥き 善逸は眠る」
『鬼滅の刃』 第十三話「命より大事なもの」
『鬼滅の刃』 第十四話「藤の花の家紋の家」
『鬼滅の刃』 第十五話「那田蜘蛛山」
『鬼滅の刃』 第十六話「自分ではない誰かを前へ」
『鬼滅の刃』 第十七話「ひとつのことを極め抜け」
『鬼滅の刃』 第十八話「偽物の絆」
『鬼滅の刃』 第十九話「ヒノカミ」
『鬼滅の刃』 第二十話「寄せ集めの家族」
吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第5巻 化け物か、生き物か
吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第6巻 緊迫の裁判と、脱力の特訓と!?
関連サイト
公式サイト
| 固定リンク