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2019.11.01

『無限の住人-IMMORTAL-』 三幕「夢弾 ゆめびき」

 万次の前に現れた一人の夜鷹。その誘いに乗った万次は、彼女――逸刀流の新たな刺客・乙橘槇絵の罠を見抜き、これを一蹴するも、生かして逃がすのだった。しかし剣士と女の間で悩む自分に決着をつけるべく、覚悟を決めて再度現れた槇絵は段違いの強さを発揮。大苦戦の万次は捨て身の勝負を挑むが……

 どうやら閑馬永空は飛ばされることとなったのか(まあ、後の展開を考えると色々とややこしいキャラではあります)、今回のゲストキャラは乙橘槇絵――数少ない逸刀流の女性剣士であります。

 三味線の中に隠した薙刀とも見紛う三節槍を用いてアクロバティックな殺陣を見せる槇絵は、作中ではまず間違いなく最強の剣士の一人。
 その一方で、元遊女であり今は芸妓と、その腕とは裏腹の暮らしを送り、そして何やらワケありの逸刀流統主・天津影久との関係にも悩む――こういう表現が適切かはわかりませんが、「女性」としての部分を濃厚に持つキャラクターであります。

 スタートしたごく初期は面白剣士との派手な剣戟バトルの側面が強かった原作は、この辺りから逸刀流の剣士の内面にも深く立ち入った展開となっていくのですが、今回のアニメ版ではその一人である槇絵を桑島法子が好演。
 クライマックスの町家の間で繰り広げられる大殺陣も、スピードが速すぎて剣戟の間というものが薄れるきらいはあるものの(これは以前から薄々感じていたところではありますが……)、槇絵のトリッキーな武器と体術の面白さは描けていたかと思います。


 が――見ていて何だかどうにも据わりが悪い、と思わされてしまったのは、その槇絵の、槇絵と天津の過去が全く描かれず、ぼやかされたままであったことであります。

 もちろんそういう描き方もアリではありますし、あるいは今後にまとめて描かれるのかもしれません。
 しかし何故槇絵があれだけの強さを持ちながら迷い続けるのか(震え続けていた原作とは異なり、三人を斬っても何も感じないと明確に語っているのに)、そして天津との意味ありげな会話の意味は――実は原作では描かれていたその辺りが、このアニメ版では丸々カットされております。

 そのために、原作以上に――そもそも、剣士と遊女という二項対立自体が極論過ぎて――槇絵に感情移入しにくくなってしまった、という印象は否めません。


 この辺り、原作では5話かけたエピソードを1話でまとめたためかなとも思いますが、まとめるためには仕方ないようでいて、やはり槇絵が単純に甘い人に見えてしまうのは、ちょっと残念だなあ――と思った次第です。
(その辺りのわかりにくい天津・槇絵カップルと、わかりやすい万次・凜コンビという対比なのかもしれませんが、しかし……)


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