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2019.11.08

『無限の住人-IMMORTAL-』 五幕「蟲の唄 むしのうた」

 逸刀流を追う万次と凜の前に一人現れた虚無僧姿の男・閑馬永空。天津を倒すために手を組みたいという閑馬の言葉を一蹴し、襲いかかってきた閑馬をあっさり倒す万次だが、閑馬もまた万次と同じく血仙蟲の持ち主だった。そして万次は閑馬の持つ毒・血仙殺によって不死身の肉体を封じられ、瀕死に……

 原作と順番が前後して槇絵との対決や影久と凜の出会いが描かれたため、今回のアニメでは出番を飛ばされたかと思ったものが、無事(?)登場することとなった閑馬永空。個性的な剣士が多かった初期の逸刀流剣士の中でも、万次と同じ肉体を持つという強敵であります。
 当然ながら斬られても死なない肉体を持ちながらもそれだけでなく、血仙蟲を殺す毒を使って万次の不死身ぶりを逆手に取る(かつての傷が一気に開くというのが何とも凄惨)、赤子を人質にとって偽八百比丘尼を仕立て上げて凜を攫う(その後、偽者は殺害)と、やることがいちいち周到でエグいのは、さすがは戦国生まれと言うべきでしょうか。


 さて、その閑馬を描く今回のスタッフは、絵コンテ・川尻義昭、総作画監督・箕輪豊という布陣。監督の浜崎博嗣も合わせて、往年の川尻作品を彷彿とさせる顔ぶれであります。
(閑馬永空の顔が、原作に比べて箕輪感というか川尻感あるビジュアルに見えたのは気のせいか)

 もっとも、アクションの方は期待しすぎたかな――という印象もありますが、終盤の万次が月を背景に現れる外連味あふれる復活シーンから、凄惨極まりない殺陣というか潰し合いに展開していく辺りの流れは、なかなかの見応えでありました。
(ただ、万次の名台詞「解体しろジジイ!」は、原作のように斬る前に言う方が、万次っぽくて良かったような気はします――というのはうるさい原作ファンの戯言)

 そしてその閑馬との血戦の最中、追い詰められた万次に逆転のきっかけを与えるのが凜の「殺陣・黄金蟲」というのは、己を蟲と自嘲していた閑馬には何とも皮肉かつ痛切な一撃となっているのは、やはり何度見ても面白いところでしょう。
 ちなみにこの時の凜の台詞は、原作では
「二百年も生きてきて一度も人の上に立てなかったというなら……」
というあまりにキツいものだったのですが、このアニメ版では
「二百年も生きてきて何も残らなかった、何も残せなかったというなら……」
と、ある種普遍的かつある意味よりキツいものとなっているのには、感心させられました。

 初期の定番パターンである、激闘が終わった後の〆の凜と万次の会話も印象的なエピソードであります。


 しかし物語も後半に行くと(国家権力をバックにしていたとはいえ)他人への血仙蟲の移植を成功させたり、万次がわりと雑に赤の他人の腕を移植したりしているのを見ると、やっぱり閑馬って……


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 無限の住人

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