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2019.11.17

『無限の住人-IMMORTAL-』 六幕「羽根 はね」

 縁日で生意気な少年・練造と出会った凜。一方、万次もその練造の父・川上新夜と遭遇していた。実は逸刀流の剣士であり、母を陵辱した新夜に怒りを燃やす凜だが、練造のことを想い、単身新夜の家に乗り込んで母に詫びるよう迫る。しかし凜は隙を突かれて新夜に追い詰められ、駆けつけた万次も……

 原作では第4巻丸々一冊+1話という長さで描かれたエピソードを、一話でまとめた今回。初読時には長い+話が辛気くさい+新夜がゲスいわりに戦い方が地味というのが苦手だったのですが――こうして一話にまとめられてみると、なかなか味のある話であったと今更ながらに思わされます。
(というより初期の面白剣士との対決から、このエピソードを期に人間群像絵巻的な展開に推移していったのに、当時は面食らっただけだったのだと今ならわかります)

 復讐対象の過去の悪行を知らない肉親の存在を通じて、主人公の復讐の正当性を問いかける――復讐ものではかなりの頻度で描かれるパターンですが、今回のエピソードはまさにそれだと言えるでしょう。
 しかしこのパターン、うまく描かないと何だか煮え切らない話になるだけになりかねないのですが、本作は凜が親の仇を討たんとする物語であるだけに、練造に自分の姿を重ね合わせて復讐を迷うという展開には、それなりに説得力があると言えるでしょう。

 もっとも、だからといって単身新夜のもとに乗り込んでいって謝れ、というのは甘いにもほどがあると言えるかもしれません(しかし作劇上仕方ないとはいえ、凜と万次は、お互い単独行動を取ってピンチになるというパターンが本当に多い)。
 やはり新夜が言うとおりに、自分の手を汚す覚悟がないといえばそれまでですが、しかし本作では実際に戦うのは凜の用心棒である万次であることを考えれば、凜の心境にもある意味納得できるものがあります。

 さて、冒頭に述べたように戦い方が地味な――というより逸刀流として何がウリだったのかよくわからない――新夜ですが、原作ではわざわざ箪笥や燭台を動かして部屋の中で自分の有利な戦場を作るという面白キャラだったのが、こちらでは真っ正面から戦うというさらに地味な展開に。
 おかげで万次がさらに弱く感じられるような気がしますが、この話では戦いは短めでよかったようにも感じます。

 ただ一つ残念だったのは、人の恨みは誰かが死なないと消えないのかという凜の問いに対する、万次のある意味身も蓋もない、しかしどうしようもない真実の答えが省略されていた点ですが――このアニメ版、こういう省略が意外と多いのは、やはり意図してやっているのでしょうか。


 にしても練造、ここで本当に退場できていればよかったのに……


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 無限の住人

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