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2019.11.30

『無限の住人-IMMORTAL-』 八幕「無骸流 むがいりゅう」

 加賀に向かうという天津を討つため、無骸流を名乗る百琳・偽一・尸良らと手を組むこととなった万次と凜。天津は女装して江戸を発つという情報を得た彼らは手分けして警戒に当たるが、いずれも替え玉に騙される。激高した末に替え玉の遊女を無惨に痛めつける尸良に反発し、止めようとする凜だが……

 前回登場した無骸流と万次たちがついに手を組んだ――と思いきや、文字通り手切れとなるまでを描く今回。前回ラストで非常に胸糞悪い展開はあったものの、とりあえず無骸流の話は聞いてみよう――ということになった万次と凜は、既に内通者も潜り込ませ逸刀流内部の情報も様々に持っている彼らと手を組むことになったのであります。

 それにしても前回その腕前の一端は描かれたものの、相変わらず正体は不明の三人(とおまけの真理路)。他の面子はともかく、とりあえず百琳は(その珍妙な格好はともかく)話は通じそうですが――しかし持病(?)ということで、いきなり夜中に叫び出したりと、やっぱり色々と曰く付きの面々であります。
 一方、そんな彼らの中のある種の不自然さを冷静に指摘し、その背景事情を仄めかしてみせる万次は、百琳が言うように意外とクレバーで感心させられます。余裕持ってるようで短気だし、不意打ちには滅茶苦茶弱いけれども、これがむしろ万次の素なのでは――と思わなくもありません(それと、一応宮仕えしてましたしね)。


 何はともあれ、そんな中でも今回やはり最もインパクトが強いかったのは、尸良であることは間違いありません。

 前回の遊女惨殺(そしてそれが今回、その遊女の兄貴分であった凶の知るところになるわけですが……)や凜への犬喰わせなどは描かれましたが、よく考えてみれば刀を取っての戦いは描かれていなかった尸良。
 それが今回、女装した天津と見せかけて、替え玉になった遊女という陽動に引っかかって激昂、その実力――というより本性が描かれたわけですが、これがまあ想像以上のクズというより狂人っぷりであります。

 もはや変態剣士の定番となった感のある(というよりその元祖か?)ノコギリ歯の刀身付きの刀を振るって逸刀流の剣士二人を斬殺いや斬殺、そして陽動に使われただけの遊女を斬る、痛めつける、陵辱する――とやりたい放題。
 ある意味「そういう奴」の定番描写ではありますが、そうであってもやはり実に胸糞悪いもの。そしてそれを――母親を似たような目に遭わされている――眼前で見せられた凜の動揺はいかばかりか。

 そして凜の、あんたはあいつら(逸刀流)と同じだ! という実にもっともな叫びも聞き流し、刃を向けられてようやく(?)逆ギレした尸良の一撃が凜を襲うかと思われた時――実にタイミングよく現れた万次の一撃が尸良の右腕を落としたのは、(こういうことを言うのはいかがなものかとも思いますが)実にスッキリ。
 前回ラストから引きずってきたものが、これで少しは気が晴れたという感じですが――まあこの後ただで済むはずがないのも事実であります。
(狂ってない時の尸良と凜のコンビは、これはこれでちょっと面白くはあったのですが……)

 無骸流との同盟関係はどうなるかわかりませんし、絶対根に持つタイプである尸良はさっさと姿を眩まし――と、余計に面倒な状況となったのは間違いありません。
 いよいよ単純な復讐行では済まなくなってきた感もあるところですが、今回チクリと百琳が凜に打ち込んだ毒(比喩的表現)のこともあり、いよいよこれから本当の混沌が始まるのであります。


 ちなみに今回、時々作画が良かった、というよりどこかで見た感じになったのは、箕輪豊が作画修正に入っていたからかしら……


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 無限の住人

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