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2019.11.22

『無限の住人-IMMORTAL-』 七幕「凶影 きょうえい」

 幕府のお抱えとして講剣所の師範役に逸刀流を迎えたいという話が舞い込む。悲願が叶う形の天津影久に対して、武士を憎む凶は逸刀流脱退を申し出る。一方、時を同じくして次々と逸刀流の実力者たちが謎の一団に討たれる事件が発生。無骸流を名乗るその一人・尸良が万次と凜の前に現れるが……

 新展開突入といった趣の今回、冒頭の謎の駕籠かき二人組に襲撃される凶をはじめとして、万次と凜の全くあずかり知らぬところで、謎の面々に次々と逸刀流が討たれていくという展開は――復讐者と狙いを同じくする第三勢力が登場するという展開も、復讐ものにはしばしばあるものの――驚かされます。
 何しろ、逸刀流では統主の天津に次ぐ腕前の剣士は三十人ほどいるという中で、おそらくは――天津不在の間の副将を命じられるくらいですから――かなりの腕であろう八角と隅乃が、出た、死んだという勢いで、倒されるのですから凄まじい。原作での初読時には唖然とした記憶があります。

 という中で登場するのが、その第三勢力である無骸流。微妙に血滴子っぽい手錠型の首狩り鎌を使う偽一、腕の仕込みボウガンを操る金髪姉御の百琳、変態ゲス野郎の尸良と、逸刀流と負けず劣らずの面白剣士(?)集団ですが――狙いが逸刀流という以外、その真の目的は全くの謎の面々であります。
 今回さらりと語られたように、どうやらこれまで幕府に泳がされていたらしい逸刀流ですが、それが幕府に迎えられようという今になって狙うというのは――これまで本作とはほとんど無縁だった、より大きな世界の、政治の世界の匂いも感じられる展開と言えるでしょう。そしてこれはこの先の物語が、少しずつ趣を変えていくことも意味するのですが……


 が、今回最も強烈な印象を残すのは、やはり尸良の存在でしょう。凶を追うために、彼の妹分(こういうところも万次っぽい)の遊女・恋を拷問して嬲り殺しの目に遭わせる、初めは高圧的に接した凜に親切ごかしに猪の肉を食わせたと思ったら実は犬の肉だった、などなど心身にわたり女性をいたぶるクソ野郎ぶりを初回から遺憾なくアピールしてくれます。
(この辺りはシリーズ構成と今回の脚本が拷問好きな成果が出ているというほどではなかったかな)

 こんな奴には万次がガツンといってくれるに違いない! と思いきや、今回は顔面蒼白の凜を見下ろしながら尸良が高笑いという、非常に胸糞の悪い展開で終了。そもそも、尸良は一応手を組むことを提案しているわけで、万次とは今のところ戦う理由はないわけですが……
 こんなゲス野郎と手を組んでまで復讐を望むのか――今回ようやく「天津影久を殺そう!」と、万次ならずともツッコみたくなるような決意をようやくした凜ですが、まだまだその意思はグラグラと揺らされそうであります。


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 無限の住人

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