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2019.12.13

『無限の住人-IMMORTAL-』 十幕「獣 けもの」

 凜の後を追おうとする万次は、町で偶然出会った宗理から手形を与える条件に凶の人探しを手伝うよう求められるが、その相手こそは尸良だった。一方、尸良は百琳と真理路の居場所を逸刀流に売り、手形を手に入れていた。逸刀流に捕らえられ、凄惨な暴行を加えられる百琳。その行方を追う偽一だが……

 『無限の住人』でもトップ3に入る――というかダントツに見ていて気が重いエピソードである百琳受難。相変わらずヒューマンダスト界でも上位(下位?)に属する尸良によって逸刀流に売られ――尸良はそれによって手形を手に入れるというのがさらにクズ度が高い――凄惨な拷問と陵辱を受ける百琳の姿が、今回描かれることとなります。

 といってもこの辺り、原作に比べるとかなりマイルドになった――というかかなり描写が省略された――印象で、直接的な描写は唐辛子塗った釘だったのには救われた(?)気分であります(原作で一番厭な気分になった台詞もカットされていたようですし)。とはいえ、間接的には非常にイヤな気分になる描写はさりげなくあったわけですが……
 しかし比較的あっさり目の描写だっただけに、偽一が助けに来た時の安堵感というものが薄かったなあ――と思ってしまうのも正直なところで、これは本当に百琳に対して申し訳ないと思います。

 申し訳ないといえば、これまでリアリティレベルが低い低いと思っていた百琳の金髪の理由も今回描かれるのですが、こちらもあまりに凄惨なその内容に、今まで失礼なことを思って申し訳ありませんでした、という気持ちに。
 そして自分を捕らえていた逸刀流最後の一人に復仇の一太刀を浴びせ、その血しぶきが自分の過去に重なっていくというのは、無惨な描写ではありますが、しかしいかにも本作らしい外連味と言うべきでしょうか。

 しかし何度見ても霞江斎の狂人ぶりは異常ですが……(天津の祖父と話が合いそうであります)


 さて、今回凜の方は食べ物に困って妙に大きなザリガニを食べてたり、万次の方は町で出会った宗理から何だかんだで手形をもらえることになったりと、出番はかなり少なかったのですが――あれ、原作ではもっと苦労していたようなと思ったら、万次が手形を奪うために百琳たちとともに逸刀流の坊主・ジョンレノン・ターバンと戦うエピソードが省略されていたのでした。この辺りは結局徒労に終わる展開だったので省略しても別に良かったように思いますが、結果として万次の出番が減ったのは、これはこれで痛し痒しだったか、とは思います。(ただし、凜を煽ったことが引っかかって万次を助ける百琳、という展開がなくなったのは残念……)

 にしても、前々回にタイトルに掲げられておきながら、早くもまともに戦えるのが偽一一人になった無骸流よ……


 そして今回、ある意味一番衝撃だったのは、絵コンテが福田己津央だったことでしょうか。ずいぶん久しぶりに名前を拝見した印象で、個人的にはかなり意外な登板であります。


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 無限の住人

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