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2020.01.16

さいとうちほ『輝夜伝』第4巻 二人天女、二人かぐや姫の冒険!?


 新たな天女「たち」の物語を描く『輝夜伝』もいよいよ佳境。かぐや姫と月詠を巡る謎が深まる中、自分たちも知らぬその過去に挑もうと決意を固めた二人ですが、それぞれ直面するのは更なる謎と危険の数々であります。そしてついに「血の十五夜」の一端が明らかになることに……?

 かぐや姫を巡り、激しく対立する帝と治天の君(上皇)。その渦中に巻き込まれた月詠は、自分にもかぐや姫同様、常人にはない力を持つこと、そしてかつて治天の君が「天女」と結ばれ不老不死の薬を得ていたことを知るのでした。
 果たして自分たちは、「天女」とは何者なのか――月詠とかぐや姫は、その謎と密接に繋がるであろう自分たちの過去を探るべく、それぞれ葛城の里と、治天の君の冷泉院に向かうのですが……


 日本最古の物語である「竹取物語」のその裏に――そしてその以前に存在する、全く異なる物語を描き出す本作。
 天女とは何者なのか、不老不死の薬とは何なのか――存在するのが当たり前のように思えていて、よく考えてみればわからないことだらけのこれらに光を当てるとともに、本作は更なる謎を用意しています。

 それが物語の発端である「血の十五夜」事件――内裏で多数の滝口が奇怪な死を遂げたというこの惨劇こそが、月詠が男装して滝口の武者に潜り込んだ理由であります。
 実のところ、最近の展開ではかぐや姫自身の謎が物語の中心となっていたため、この事件のことはちょっと薄れがちではありました。しかしこの巻ではついにその謎の一端が明かされるのですが――やはりそれは一端に過ぎず、むしろ謎はより深まった印象すらあります。

 しかも作中ではぼやかされてはいるものの、どう考えてもこの描写では月詠が――というのは先読みのしすぎかもしれませんが、いよいよもって先が気になる展開になってきたとしか言いようがありません。


 そしてもう一方のかぐや姫の方ですが――文字通り体を張って治天の君が秘匿してきたモノを奪ったものの、それが元でとんでもない状態になってしまうこと。
 いやさすがにこれはは予想していなかった――というほかない展開なのですが、いやはや、そのおかげで月詠の方もまた大変な状況に陥ることになります。

 そして予想していなかったといえば、レギュラーの一人でありつつもほとんどモブ扱いになっていたあのキャラが、思わぬ素性(まさかここで高丘親王とは!)を露わにして大変身。
 何となく当て馬感も大きいのですが、また物語に妙な形で関わってきそうなのも、実にいい感じでこちらをやきもきさせてくれるところであります。

 果たして二人の天女、二人のかぐや姫を待つものは何か――ますますこちらを振り回してくれる作者の業に感心するばかりであります。


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