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2020.01.04

『無限の住人-IMMORTAL-』 十三幕「誰そ彼 たそかれ」

 幕府と無骸流の罠から辛くも生き残り、蜂起の日まで地下に潜伏することを選んだ天津たち八人。一方、自分を無骸流の創設者である吐鉤群の元に連行しようとする偽一と立ち合い、不死身の肉体で圧倒した万次だが、鉤群に興味を持ち対面することになる。万次の不死の肉体に興味を持つと語る鉤群だが……

 前回意味有りげに引いたと思いきや、アバンでいきなり皆殺しになっていた逸刀流幹部の皆さん。毒を盛られた上に、吐鉤群と偽一という作中最強キャラに襲撃されたのですから、生き残る方が無茶というものですが――それでもしっかり生き延びた阿葉山は流石というべきでしょうか。
 いずれにせよ、天津、凶、阿葉山に新キャラ五人、槇絵も含めていきなり残り実質九人となった逸刀流は、地下に潜伏することになるのですが、さてそれでは凜と万次の戦いは――ここお話は妙な方向に向かい始めることになります。
(にしても一人で不穏な動きをしている怖畔が異常におかしい)

 というわけで今回から突入するのは、原作でも評判のよろしくない(と思われる)不死力解明編。後半は非常に盛り上がるのですが、前半はもう読んでいて辛かった記憶しかないという――もっとも、加賀編をかなり省略したこのアニメ版であれば、こちらもばっさりやってくれるのではないかと思いますが……

 と、いきなり失礼な文章を書いてしまいました、今回は加賀編では今ひとつ出番が少なかった万次がかなり全面に出てきた印象(もっとも、原作ではこの前後に逸刀流残党の把山繰重相手に苦戦しているのですが)。逸刀流にスカウトという名目で連行しに来た偽一に対しても一歩も引かずに戦う姿は、実に頼もしい――もっとも、見える方の目をいきなり潰されて一瞬行動不能になったのにはヒヤヒヤしましたが、トリッキーな武器の多さと不死身の肉体でゴリ押しするスタイルで、テクニック系の偽一の攻撃をほぼ凌いで見せたのには感心しました。
(正直なところ、力任せに偽一の首刈り鎌を外しにいったときは、本当に大丈夫か真剣に心配しましたが……)

 しかしここからがいけない。調子に乗って吐のところに無計画に乗り込んだ挙げ句、心臓は何度も刺されたと嘯いた直後に吐に心臓を刺されてなにすんだ痛えだろうがと激怒するのは、どう見てもやられ役の言動であります。さらに吐の話術に丸め込まれて相手のペースに乗せられた末に、大量の幕吏に取り囲まれた日には……
 思えば偽一相手に見せた戦法は、一対一の尋常な(相手との)勝負でこそ有効であって、集団相手にはダメージ前提の戦い方はあまり有効とは思えません。この辺り、なんだかんだで個人の集まりであった逸刀流と、あくまでも集団である幕府と、両者の違いが、万次を通じて象徴的に現れている――というのは牽強付会に過ぎるでしょうか。

 何はともあれ、何も考えずに敵の手中に落ちて、とても猟奇な感じに囚われてしまった万次。もはや頼みは、(何だか突然一方的にラブい感じになった)凜のみですが、さて彼女一人に何ができるのか――と、Cパートでとんでもない出会いがあったところで次回に続きます。


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 無限の住人

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