「コミック乱ツインズ」2020年4月号
「コミック乱ツインズ」4月号」は、『勘定吟味役異聞』の水城聡四郎の、猛烈に気迫に満ちた上段構えがインパクト十分の表紙が目印であります。今回もいつも通り、印象に残った作品を一つずつ紹介しましょう。
『勘定吟味役異聞』(かどたひろし&上田秀人)
単行本7巻も刊行され、新章も快調な本作ですが――今回は冒頭から屋敷で剣の稽古で汗を流した聡四郎を甲斐甲斐しく迎える素敵な紅さんという場面からスタート。何なの、お嫁さんなの!? その後もいつもながら相模屋の前で悩みを吐露する聡四郎と、発破をかける紅さんの姿が描かれるのですが――しかし事は御三家の当主が毒殺されるまでに至っているのですから、結局は一介のお役人である聡四郎に何ができるのか……
と、その当の御三家の一人である吉宗が、当主が毒殺されたばかりの尾張家に乗り込んで恫喝三昧。こんな人を上司や岳父にする人は大変だなァ。
何はともあれ、前章では決着がつかず水入りとなった無手斎と鬼伝斎の再登場も予感され、いよいよここからが本番でしょうか。
『いちげき』(松本次郎&永井義男)
仲間を失い、上司を失い、ついに一撃必殺隊唯一の生き残りとなってしまった丑五郎。もはや彼に残されているのは、想いを寄せた女郎のソノのみ――というわけで彼女のもとに向かう丑五郎ですが、もはや激烈に悪い予感しか浮かびません。その予感は当たり、ソノのいる女郎屋に行ってみれば、そこを包囲しているのは益満ら薩摩の侍。しかも店の中には宿敵である伊牟田が立てこもっているというではありませんか……
と、もう何も残されていない丑五郎からさらに全てを奪うような残酷すぎる展開が描かれる今回。さらに混乱に乗じて屑のような破落戸たちまで現れ――しかしこいつらはある意味一撃必殺隊とは鏡合わせの存在なのですが――もはや読んでいるこちらもひたすら辛いとしか言いようがありません(一ページぶち抜きで描かれる丑五郎の姿がもう……)。
そんな中でも意地か自棄か、何とか立ち上がった丑五郎ですが――さて、最後の一撃必殺隊士を待つものは何なのでしょうか。
『暁の犬』(高瀬理恵&鳥羽亮)
犬をけしかけることで、暗殺依頼を受けた三人のターゲットの一人、鳥居新二郎の太刀筋をついに見た佐内。その結果、鳥居の相手は根岸に譲ることとなった佐内ですが、立ち会いの邪魔となる鳥居の朋輩の相手を自ら望んで買って出ることに……
気迫十分な鳥居の凄まじい一撃で始まった今回。予想通り鳥居は――だったわけで、彼の相手を根岸に譲る佐内ですが、しかし己の中の怯えを消すために、剣士ならざる我々からすればちょっと驚くような手段に出ることになります。
いやはや、ここまで来ると確かに犬、というより確かに獣じみてきますが、しかし佐内の睫毛はそれにもかかわらず相変わらず長い――というわけで、死合いの相手から、またもやもはやお約束の扱いを受けることになるのでした。
そんな相手の内心はさておき、迫る死を前に佐内は――盛り上がってきました!
『カムヤライド』(久正人)
大王の命を受けたオトタチバナを翻弄し、見事に逃げおおせたモンコ。しかしヤマトには最悪のタイミングで真の「敵」であるイシコリドメ――アマツ・ミラールと、コヤネ――アマツ・ノリットが出現、人々を無差別に殺戮する彼女たちに、モンコ、そしてヤマトタケルが立ち向かうのですが……
本誌と同時に単行本第3巻が発売、そして今回は大増40ページと勢いに乗る本作。内容の方もそれに相応しく盛り上がります。
国津神の背後で暗躍してきた、二百年前にこの星にやってきた「敵」。いわば幹部クラスの相手との、本格的な戦いがここでいよいよ描かれるわけですが――以前モンコとヤマトタケルが二人がかりでも大苦戦したウズメと同格の相手が、しかも二人も登場したとあれば、激闘必至であります。
その名の通り(?)音を操るアマツ・ノリットの超音波攻撃にダメージを受けるモンコと、無数の光弾を放つアマツ・ミラールと射撃戦を繰り広げるヤマトタケル。一進一退、いやこちらが押され気味の戦いの行方は――こんな能力まであったのか!? とモンコが意外な対抗手段を見せて、攻守逆転か、という実にイイ場面で次回に続きます。
しかし、ヒーローはもう一人いるはずですが……
(ちなみにヤマトタケルの側では、相変わらず(?)トレホがシブい働きを見せてくれて、これもまた嬉しいところであります)
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