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2020.07.22

冬目景『黒鉄・改 KUROGANE-KAI』第4巻 新章突入、迅鉄長崎へ

 第1巻から長きに渡り続いてきた「底根國の天探女」編もこの巻の冒頭で完結し、鉄仮面の渡世人・迅鉄と喋る刀・鋼丸も新たな地に向かいます――が、そこで待ち受けるのは、彼の「生みの親」にまつわる不穏な噂と、一度は振り払ったはずの因縁。長崎にて、迅鉄たちの新たな戦いが始まります。

 紅雀の丹が託された謎の図面、そして迅鉄自身を狙って暗躍した三度笠の一団・灰土隊。彼らの手先となって働いていた旅芸人姉妹や旅の学者・狩野久作、公儀隠密まで巻き込んでの乱戦の末に灰土隊は全滅、姉妹とも別れてようやく迅鉄と丹は股旅稼業に――と思いきや、久作の言葉から、新たな厄介事に二人は巻き込まれることとなります。

 久作の言葉――それは、迅鉄をかつて鋼の体に改造し、死から蘇らせた蘭学者・平賀源吉が、生きている噂があるというもの。江戸で死んだはずの源吉が、長崎で目撃された――その真偽を確かめたいという久作に引っ張られて、迅鉄は(そして巻き添えで丹も)一路長崎に向かうことになるのですが……


 というわけで始まる新章「屍者の讌」。本作もそれに属するであろう股旅もので長崎が舞台というのは珍しい印象がありますが、なるほど迅鉄の「生みの親」が長崎出身ということであれば――そして灰土隊の背後にいる謎の組織・扇会が長崎商人を母体にしているのであれば――この展開も納得です。

 それにしても今回驚かされたのは久作の素性です。なにしろこの久作、突然物語に顔を出して以来、良いタイミングで丹を助けたり、迅鉄の腕を持ち去ったりと――そして何よりも絡繰りに詳しい旅の学者という時点で実に怪しい人物なのですから。
 迅鉄と丹以外の登場人物に何かしらの裏や秘密がある本作において、これだけ怪しい久作に何もないはずはない! ……と思っていたのですが、(廻船問屋の道楽息子で、海の上では意外とワイルドなことを除けば)本当に語った通りの人物であったとは、逆に驚かされました。

 しかし彼がトラブルを持ってきたのは間違い話でもあります。上で述べたとおり、先のエピソードでの争いの背後にいた扇会の本拠は長崎――結果として、敵地に迅鉄は飛び込こんだことになります。
 はたして迅鉄に(思わぬところから)迫る魔手。その一方で、灰土隊と共に戦った公儀隠密・伊奈信治、阿蘭陀人との混血であり、丹とは友情ともつかぬ不思議な情で繋がった灰土隊の女剣士・瑠璃も長崎に現れ、再び物語は賑やかになってきました。

 その分、迅鉄の出番が――という印象もありますが、それはそれで彼らしいというべきでしょう。入り組んだ物語はこれからが本番のようであります。


『黒鉄・改 KUROGANE-KAI』第4巻(冬目景 集英社ヤングジャンプコミックス) Amazon


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