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2020.09.01

霜月かいり『BRAVE10 暁』 三年ぶりの新作! 相変わらずの奴らとの再会

 実に三年ぶりの『BRAVE10』であります。舞台第三弾『BRAVE10 昇焉』記念ということで短期連載された本作で描かれるのは、『BRAVE10』と『BRAVE10 S』の間の物語。久々に才蔵が、鎌之介が、佐助が、新たな敵を向こうに回して大暴れすることになります。

 恐るべき力を秘めた出雲の巫女・伊佐那海と、彼女を守ることとなった伊賀の忍び・霧隠才蔵をはじめ、超曲者大名・真田幸村の下に集った十勇士の活躍を描く真田十勇士物語であった『BRAVE10』と、その第二シーズンの『BRAVE10 S』。
 物語は既に『BRAVE10 S』で完結していますが、三年前に刊行された『BRAVE10 戯』同様、本作は物語の合間を描く外伝であります。

 伊賀異形五人衆との対決、そして伊佐那海の中の闇との対峙を経て十勇士が集結し、一時の平和を迎えた上田城。しかし先の戦いで愛刀を失った上に、隙さえあれば襲ってくるバカ鎌之介に辟易とした才蔵は、海野六郎が一時上田を離れるのに合わせて、伊賀に向かうことになります。
 久々の静かな環境(えらく現代的旅館)にのんびりと羽根を伸ばそうとした才蔵ですが、しかしそこに奇怪な仮面の敵が襲来、才蔵は一撃を食らった末に六郎は連れ去られてしまったのであります。

 意識を取り戻した才蔵は、追いかけてきた鎌之介と協力して六郎の跡を追いますが、その頃、謎の「狂師」に囚われた六郎は、相手の操る奇怪な毒薬の前に、窮地に陥って……


 というわけで、ほぼ単行本一冊分の中編ということもあってか他の十勇士は顔見せのみで、ほとんど才蔵と鎌之介と六郎のおそらく人気トップ3(あとは佐助とアナが少し活躍)が中心となる本作。
 無頼を気取りながらも結局苦労を背負い込む才蔵、そんな才蔵に全身全霊で殺し愛をぶつける鎌之介、一人マイペースで毒舌の(あと無駄にエロい感じの目に遭う)六郎と、みんな変わらないなあ――と何だか感慨深くなってしまいました。
(敵の術中に陥って襲ってくる鎌之介に対する才蔵のリアクションには「そりゃそーだ」と爆笑)

 今回登場の「狂師」も、そのネーミングや能力だけでなく、これまでの登場キャラクターたちとは一風異なる重たげな和装+仮面・覆面というデザインが面白く、ゲストキャラながら印象的。
 しかし何よりも驚かされたのは、彼の主の設定で――まさかの白川亨ネタ!? と大いに驚かされました。考えてみれば本編の方ではあまり出番がなかった印象のキャラだけに、こういう形での登場は大歓迎であります。


 というわけで、ファンにとっては嬉しいプレゼントであった(逆に言えばファン以外にはおすすめしにくいのですが)本作。まだまだいけるのではないかなあ、というのはさすがに欲張りすぎかもしれませんが……
(一つだけ、『殿といっしょ』の出張版がなかったのだけは残念――というのはこれはさすがに贅沢の言いすぎでしょう)


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