『半妖の夜叉姫』 第3話「夢の胡蝶」
時代樹を通じて現代に現れた三つ目上臈とせつな、もろは。生き別れのせつなとの再会を喜ぶとわは、協力する形で三つ目上臈を倒すが、しかしせつなには姉の記憶はなかった。そこに飛頭根に取り憑かれ、せつなに襲いかかるとわ。さらに飛頭根はとわから妹の芽衣に乗り換えるが、とわは芽衣を庇い……
前回ラストでついに巡り会うこととなったとわ・せつな・もろはの三人。さらに日暮家の面々も登場して、この第3話では色々な意味で賑やかかつ懐かしさが漂う展開が繰り広げられることとなります。
今回冒頭から描かれるのは、三人娘――というよりとわ&せつなと三つ目上臈との戦い。不良との悶着が終わったかと思えば、ご神木から団子状態の妖怪とせつな&もろはが飛び出してくるというとんでもない状況ですが――現代での妹である芽衣がピンチとなり、さらに生き別れだった戦国での妹であるせつなまで現れて俄然テンションの上がった(?)とはは、折られた菊十文字の刃を妖気で補い、せつなとともにあっさりと三つ目上臈を倒すこととなります。
が、肝心のせつなは自分のことを全く覚えておらず、しかも父親譲りの剣呑な態度でとわに接してくる始末。部外者のもろはですら、妖気の匂いで二人が姉妹、しかも殺生丸の娘と見抜かれているのですが……(そのもろはも、自分の祖母である大ママから、かごめの子ではないかと見抜かれたわけですが)。
さて当のせつなは、自分は剛臆の試し、つまりは獅子は我が子を千尋の谷に云々――というやつで、親から捨てられたと思っているようですが、殺生丸の場合本当にやりかねないので困ります。ちなみにとわとせつなは赤子の頃に楓の村(ということは母親はやはり――?)から殺生丸の手で連れ出されたということのようですが、前回のとわの回想には殺生丸がいなかったのは、はたして……
このせつなの素性、どうやら楓も琥珀も気付いていなかった模様ですが、赤子の頃にいなくなったとはいえ、一度は身近にいた子のことを忘れていたというのは、これは戦国時代人が人の生き死にに淡白なのか、それとも何か別の理由があるのか……
何はともあれ、感動の再会となるはずがあわや刃傷沙汰になりかけていたとわとせつなは、戦国時代からその場に紛れ込んでいた妖怪・飛頭根(完璧に忘れていましたが、これも『犬夜叉』に登場組)にとわが取り憑かれたことでガチの戦いに発展。巻き添えになることを恐れたか、とわの体から抜け出した飛頭根が今度は芽衣に憑いたことで、事態は最悪の方向に転ぶかと思いきや――せつなの術によって皆眠らされ、その間に薬によって飛頭根も除去、ということで、まずは一見落着するのでした。
そして何だかんだでとりあえず日暮家に転がり込むこととなったせつな&もろはですが、どちらも全く別の意味で周囲のことを気にしないためか、見知らぬ時代だろうが場所だろうがお構いなし。一方の日暮家も、かごめのあれこれがあっただけにこちらも全く動じず、ごく自然に受け入れているのが愉快なところであります。特に草太の奥さんで芽衣の実母である萌さんなど、日暮家の血を引いていないのに、全く平然と受け入れているのに驚かされますが……
(しかしえらく広いタワーマンションに住んでいる上に、国宝の刀まで家にある草太は何をやって暮らしているのか――まあ、実家が太いといえば太いのですが)
さて、今回とわとせつなの姉妹が大暴れしている一方で、立ち回りはほとんど見せなかったもろはですが――全く別の形で強烈に存在感をアピールすることになります。というのも彼女はこの渾沌とした状況の中で的確な状況分析力や推理力、観察眼などを発揮――上に述べたとわたちの素性を見抜いただけでなく、せつなのちょっとした言葉から、彼女が夢と眠りを奪われた状態であること、さらに昔の記憶がないことも含め、「夢の胡蝶」によるものだと判じてみせるのですから驚かされます。(冒頭で、簡単に折れた菊十文字の刀身を一瞥してそれが偽物と断じたのにもびっくり)
言動自体はかなり豪快で野生児めいたもろはですが、その一方でこのようにクレバーなところを見せるのは、両親の良いところばかり継いだような気がいたします。もっとも、その両親の姿が全く見当たらないのが心配なのですが、その辺りは次回辺りに見えてくるのでしょうか……
なにはともあれ、妹の異常なよそよそしさの原因らしきものを知ったとわ。果たして彼女は妹のために如何なる行動を取るのか、そして再び戦国時代への扉は開くのか――というところで次回に続くことになります。が、次回予告で時代樹のもとに現れた幻影めいた姿は――桔梗!? ある意味、一番ややこしい人が出てきた気もしますが、さて……
今のところ、『犬夜叉』の要素を十二分に活かしつつも新しい物語を展開しているだけに、次回も楽しみであります。
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