『半妖の夜叉姫』 第4話「過去への扉」
現代でそれぞれの時間を過ごすとわ・せつな・もろは。せつなの記憶を取り戻すために戦国時代に向かうことを決意したとわは、もろはが根の首と取引したことで開いた時代樹の穴に二人とともに飛び込むが、その前に桔梗の姿を借りた時代樹の精が現れる。時代樹は、三人にある頼みを持ちかけるが……
時代樹の穴が閉まってしまったため、なし崩し的に日暮家でとわと共に暮らすことになったせつなともろは。コミュ力が異常に高いもろはは当然としても、せつなも萌さん(世界的バイオリニストらしいのですが――それでこの広いマンションなのかしら)に気に入られてドレス姿でバイオリンを演奏し、と、見事に現代に適応した姿が描かれます。
むしろ、とわの方が現代に馴染んでいないのでは――という気もしますが、彼女は彼女で、せつなの記憶と夜の眠りを「夢の胡蝶」から取り戻す決意。しかしそれは戦国時代に行かないことにはいかんともしがたい状況であります。
と、そこで時代樹と一体化していた根の首の末端ともろはが交渉(という名の脅迫)して、時代樹の扉が開くことになり、もろははどこかで見たようなデザインのリュックサックに現代のアイテムを詰め込んで(軍資金は草太のクレカから。どれだけ現代に適応してるのか!)、準備万端。日暮家の面々にひとまずの別れを告げて三人で穴をくぐることになります。
しかしそこで三人ともうちの娘と宣言する日暮家、孫はともかく義理の息子の兄の娘たち(ややこしい)までカウントしてしまうとは、やがて妖怪の世界がこの一家に支配されてしまうのでは……
というのはさておき、戦国時代への穴から飛び出した三人娘ですが、その前に広がるのは謎の異空間、そして現れたのは、何と桔梗! これまで二度死んで(周囲を散々引っ掻き回して)、またも復活!? と思いきや、封印の矢に残っていた思念をベースにして時代樹が姿を借りているだけのようですが、こういう役にはある意味ベストチョイスかもしれません。
さて、その「桔梗」が三人の夜叉姫を留めて語るのは、かつて殺生丸と犬夜叉の父である犬の大将と並び称され、日本を二分して東国を支配していた大妖怪・麒麟丸退治の依頼。犬の大将(の後を継いだ殺生丸)という重石が取れ、時空を乱して末法の世をもたらそうという麒麟丸を、犬の大将の縁者であるお前たちが退治するのだ――という時代樹の言葉ですが、それにOKしたのはもろはのみ。
せつななど、そんなことは同格だという殺生丸に頼むべきと正論を繰り出してくるのですが、それに対して時代樹が、殺生丸も道を誤ってるのでどちらも倒せなどと言い出すものですから、今度はとわが激昂。これまでの描写からすれば、アバウトなもろは、割り切りすぎるせつなに対し、生真面目なとわという立ち位置のようですが――顔も見たことないとはいえ、自分の父を討てと言われれば、彼女でなくとも断るでしょう。
かくて交渉決裂、根の首をけしかけて三人を襲わせる時代樹(こういう時に桔梗の姿は違和感ない……)ですが、はるかな時を経て日暮家伝来の河童の手首のミイラの威力(?)がついに炸裂(『犬夜叉』ではかごめに思いっきり拒否されたじいちゃんからのプレゼントが、その娘の代になってついに役に立った――のか?)、ノリノリの三人娘のパワーによって、根の首はついに滅ぼされるのでした。
かくて戦国時代に帰還した三人。しかし時代樹を制御していた根の首を退治してしまってこの先どうするの、というところで次回に続きます。
……と思いきや、ラストで時代樹に封印(?)されていたのはりん!? そして足元だけ殺生丸様が――と、実に心憎いヒキであります。
そんなわけで気がつけばもう第4話まで来た本作ですが、今回、最終目的らしきものが提示され、いよいよ物語が動き出した感があります。前作との目配りも大小織り交ぜて(特に犬の大将をこう使ってくるか! と感心)、それでいてきっちり本作の主人公たちにも存在感があるのに感心します。
ただ、日暮家にとっては何よりも気になるであろう、もろはの両親の行方が何となく濁されていたり、重要アイテムらしい虹色真珠の存在がきちんと説明されていなかったりと、悪い意味で気になる点もないわけではないのですが――しかし現時点では、トータルで見れば及第点を大きく超えているかと思います。
もちろん次回以降も楽しみにしているところです。
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